あいちゃんの★世の中には色々な性癖がありすぎて異世界で異世界

異世界モノ小説書いているお(*‘ω‘ *)連載するお('ω')

あいちゃんはGWのため

はろー('ω')


読者数2憶人 2022年書籍化 コミカライズ アニメ化予定の


世の中には色々な性癖がありすぎて異世界異世界 

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ですが

愛ちゃんがごーるでんういーくの為、次回更新は明日の夜、または明後日となります('ω')

毎日更新を3分おきに確認してくれている皆さま、少々お待ちくださいませ('ω')

あいちゃんはTOKYOにいってくるお('ω')

ひゅーひゅー('ω')

TOKYOで薄着女子に(*´Д`)ハァハァ♡してくるんだお('ω')

やったぜ★

世の中性癖 9話

一話はこちらから('ω')↓

 

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「あの・・・・・・先輩・・・・・・」

「ぜんぜん!? ぜんぜん大丈夫だし!? いやいやほんとにほんとに! 伝説の勇者とかないから!! 」

「でも・・・先輩・・・」

「伝説の勇者とか実際犯罪者だから! 知ってるかよつば? 」

「え? え? 」


勇者の知識のないよつばに教えてやろう。


「勇者っていうのはな? 土足で他人の家に無断で上がり込みタンスを開け、パンツをかぶりツボを割って、鍵のかかっている宝箱すらこじ開けて目ぼしい財産を全て持ち去る。 とっても危険でアウトでローな、ロリコンのことだ。 よつばは俺が変態で嬉しいと? 」

「そ、そんなことありません! 先輩が勇者じゃなくてよかったです! 」


なんだろう。 ほんとなんだろう。 
なぜかこういう時に強がってしまう。
本当はすごくがっかりしてチソチソも小さくなって消えてしまいそうなのにそれを察して欲しくない。
後輩であるよつばにだからなおさらだ。
強くてかっこいいステキな先輩でなければならない。

と思ってしまう。

俺があまりにも凡才、しかも魔力すらないことに興味を失ったのか、ギルド内はすでに俺に興味を失っているようだ。

おばあちゃんは俺の強がりに気付いているだろう。
まぁ気づくよな。
きっと周りも気づいているはずだ。

哀れに思って何も言わないでいてくれているのだろう。

スフレあたりは俺が童貞だってことにすら気づいているだろう。


「まぁ気を落とさんでもええ。 魔力はなくともできることはある。 不便もあるじゃろうが剣も振れるし弓も引ける。冒険者になれないことはないぞ」

「そうですよね、これから鍛えていきますよ 」


そんなこんなで俺達の冒険者登録は終わった。
ジョブに就くことも冒険者ギルドでできるようだが今日はもう疲れた。
これ以上ここにいたくない。


よつばは選ばれし者である超級レア能力持ちで、俺は一般人だ。 
そりゃそうだよな。
実際日本で俺何してた?

普通高校に入学し普通に卒業。
大学も普通に入学、普通に卒業。
普通に大学も卒業して普通に会社に就職だ。

普通じゃなかったのは童貞が卒業できていないことぐらいだし、卒業の見込みもない。
卒業まで何年かかるのだろう。

それなのに実は隠された力がありました、なんていうのは都合の良い話だ。
そんな話なんてまぁそりゃないよな。

よつばなぜか性の神様からの寵愛があるようだが【聖神の寵愛】だなんてようは愛人だろう。
都合よく呼び出されては解消してそそくさと帰らせられる。

聖神ってそもそもなんだ? ゼウス的な神か?

そんなじじいの愛なんぞいらん。

というか、まんまこの状況都合よく呼び出しくらった愛人状態じゃないか?


アンドラはいつの間にか自分の依頼の完了をしてきたのだろう。
ラッシュと依頼報酬を山分けにしているようだ。


「それじゃ! おふたりさん。 これから教会に行くっていうんなら私がしてあげれることはないかな。 よつばがいれば教会は歓迎してくれると思うよ。 教会はこのギルドを出たら左にまっすぐ。 小高いところにあるし、目立つからすぐわかるよ。」

「もっと色々聞きたいことはありますが、お世話になりました。 本当にありがとうございます。」

「私はこのギルドか、もしくは雫亭って宿にいるからまぁなんかあったらきてよ」


おばあちゃんや受付嬢に簡単に礼をし、これからよろしくお願いします、と挨拶を済ませた。

俺はよつばと一緒にギルドを出て教会を目指す。

正直不安しかない。 

金もないしお腹も減った。
これから先どうなるのかもわからないし帰れるかどうかもわからない、それどころか今は帰る場所すらない。
同じ不安をよつばも感じているだろう。
俺はそんな不安を拭うように街の景色に目を移した。

道中にあるものはどれもすごく目新しい。
ヨーロッパ旅行にいったらこんな景色なのだろうか。
新しいものを見つける度によつばに報告しながら進んだ。

不思議な看板や巨乳の発見。
野良猫に野良犬に野良パンツの発見。
街中を流れる水路に井戸、ノーブラ女子の発見。

様々なものを発見する度によつばの不安メーターは下がり、代わりに怒りメーターが上がっていくのがわかる。
顔に出やすい女だ。

とりあえず不安は解消されたようなのでいいだろう。


教会はアンドラ言った通り、ギルドからそんなに離れておらず、少しだけ小高くなった丘の上にあった。

まさに教会、だ。
教会といえば十字架だが、建物の中央上部に掲げられているものは特にない。
円錐の高い屋根が威厳、神聖な雰囲気を醸し出している。

建物の周りには作物が育てられており、井戸、納屋、そして牛だろうか? 牛にそっくりな動物も飼育されていた。
教会は自足自給なのだろうか?
そんなイメージはあるな。


「それにしても、おっきいねぇ」

「そうですねー! なんかとっても新鮮ですね! 日本にはこんな建物ないですし! 」

「おっきいのは好き?」

「あまり大きいとなんか遠慮しちゃいますね、ほどほどくらいの大きさのほうが安心します」


ちんこの話だよね?

違う、建物の話だ。


別にちんこの話をしているわけじゃないのだがどう考えてもちんこ風だ。
さすが性神の寵愛を受けているだけある。
その力を見せてもらおうか。


「それではよつばさん、中へどうぞ」

「え?私が先に入るんですか? 」

「お前聖神の愛人だろ」

「なんでですか!! この」


童貞! と叫ぶ前に口をふさぎ謝った。
このくだりはもういい、心の傷も増えるばかりだ。
今その単語を聞いてしまったら俺の心は折れるだろう。

教会に無断で上がり込みタンスを開け、パンツをかぶりツボを割って、鍵のかかっている宝箱すらこじ開けて目ぼしい財産を全て持ち去る。 とっても危険でアウトローロリコンになりそうだ。

よつばは俺を勇者にしたいのか?

よつばは少し怒っているようだが素直に教会へはいる。
教会の中は大勢の人が集まれるように横長の椅子が何列もあった。
結婚式でよく見るタイプの椅子だ。


「あの~、すいませ~ん」


よつばが声を掛けるとしばらくして足音が近づいてくる。
現れたのは ディス イズ シスター 。 これは シスターです。 と紹介したくなるようなシスターだ。

黒いベールをかぶり修道服を着ている。
修道服はサイドに深くはないが、スリットが入っていて激しく動けばパンツが見えそうだ。
年齢はアラサー、三十代中盤といったところか。
黒いロングヘア―はささやかな双丘あたりまで伸びている。
とても温和そうな少したれ目のかわいらしい感じだ。
年上が好きな俺には大好物だ。
このくらいの年齢が一番エッチだ。(当社比)


しばらくすると奥のほうから足音が聞こえてきた。


「あらあら、どうしましたか? 」



==========


続く('ω')

 

世の中性癖 第8話 「伝説の」

一話からはこちら('ω')↓

 

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「あれれ~??? 」


スフレと呼ばれた受付嬢は俺の手を握ったままこちらを見つめ、首をかしげる
そのしぐさはとても可愛らしくオッキしそうだ。

いや、オッキした。
男の子だからね。


女性の手を握ったのなんていつぶりだろう。
びっくりするくらい記憶にない。
強く握り返していると首筋になんとなく無言の圧力を感じるが気にしない。どうせよつばだ。
今日、俺はこれから童貞を捨てるのだ。

スフレは困った表情で


「すいません、私から何か感じませんか? 」

「感じます。 お付き合いを前提に結婚してください。」


間違えた。 結婚を前提にお付き合いか。
まぁどっちでも結果は一緒だ。
結局は子作りをしたい、ってことだ。


もう俺はこの手を一生

「ブチブチブチッ!!」 

え!? 俺の耳ちぎられた!?

びっくりするぐらいの腕力で耳を引っ張られる。
どうやらよつばが俺の耳を引きちぎらんと力任せに引っ張ったらしい。


「何言ってんですか先輩!! そんなことしてるならもう協会行きましょうよ! 」

「ごめんごめんごめんごめん! 鑑定したい!! 鑑定したいから!! 俺伝説の勇者か大賢者だから!!」


俺のセリフにギルド内が少しざわつく。
よつばが超級レア能力持ちだ。
その連れの俺にも期待が膨らんでいるのがわかる。


「ちょっと! おばあちゃん!! この人のこと鑑定してやってください!!」


おばあちゃんは何やらぶつぶつと考えごとをしているようだったが、何かを思いついたのだろう。


「お前さん、私と手を繋ぎながら石板に触れてみなさい」 
 

内心「え~・・・・」とも思うがそんなこと言えば俺の耳はなくなるだろう。
さっさと鑑定してもらえるならそれでよし。
俺はおばあちゃんと手を繋ぎ石板に手をのせる。
介護しているような気持ちになる。
あたたかいおばあちゃんのお手手。
このおばあちゃんはちゃんとお家に帰れるだろうか。
鑑定が終わったら最寄りの交番に連れて行ってあげよう。


そして、石板は青白く輝きはじめた!!!



【名】  山崎 陽介 (人間)
【ランク】 E
【ジョブ】 ==
【ステータス】 体力 42   魔力 ×   知力 59   力 36  俊敏 27  
【スキル】 算術 指導
【属性】 ==
【特殊】 


え?

【全属性適性】とか【勇者】 は?  

伝説級のスキルはどれ?

これ違うわ。

これは俺じゃない。

おばあちゃんのことじゃないのかこれ。


「これは私じゃないですよ、おばあちゃんも陽介って名前なんですね?」

「・・・・・・わしはヨランダじゃ。これはお前じゃ」


普通過ぎてどうしようもない。
どう反応したらいいの?詰んでない?
何のためにこの世界に来たの?


「えっと・・・・・・ 説明させていただきます。 ジョブはなし、ステータスは一般的な成人男性並みですが、知力が高いですね。
スキルは【算術】に加えて【指導】。【指導】は教えるスキルです。」


最初に説明をしてくれた受付嬢が説明を始める。


「は、はい。」

「属性は、ありませんね・・・・・・。特別な能力も今のところありません・・・・」

「属性がない、とは? よつばのようにこれから伸びたりしないんですか?」

「よつばさんは属性があるんですよ、表記が違いますよね。 よつばさんは ∞。 陽介さんはありません。」

「そんなのずるい!!書き足してください!! 」

「そ、そんな事できませんよ!  それからもう1つ、お伝えしないといけないことが・・・」

これ以上何を言うつもりだ。

ステータスは並、スキルも対したものがない、属性もない。
スキルに【指導】があるが、これは俺の経験だろう。
俺の勤めている会社は教育サービス業だ。
仕事で教育については学んでいるし実践もしている。中学生向け塾講師のアルバイトもしていたしな。
会社でのよつばのトレーナーは俺だ。

それ以外の特殊能力もない俺にこれ以上何を言うつもりだ。

まさか童貞ってことがバレてる?

公衆の面前で童貞をバラされたらもうこの街にはいられない。
あの小屋に戻ろう。
再スタートだ。


受付嬢は言いづらいのか、なかなか言葉を続けない。
まごまごしているうちにおばあちゃんが口をはさんだ。


「お前にはな、魔力もない。 この世界に生きるものは全て体内に魔力を持っている。 石板は魔力に反応、感知してその者の能力を示す魔道具じゃ。 魔力のないお前には反応しなかったということだ。だからわしが仲介した、っということじゃ 」

「魔力がないってどうしたらいいんですか!? 」

「知らん。 現に生きているんだから大丈夫じゃろ。ただお前には魔力を扱うことはできないだけじゃ。」

「それは・・・・・・ これから私は生活していけるのでしょうか・・・ 」

「魔力も能力もないだけじゃ。 算術も指導もあるじゃろ。 どっかで働き口探せばよかろう」


魔力も能力もない・・・・・

嘘でしょ?

いやいやいやいや

嘘でしょ??

伝説の勇者的なポジションになると期待しすぎていたせいで落胆がハンパなすぎて股間がもげそうだ。
散々上げて上げて上げて落とされた気分だ。

若かりし頃の合コンを思い出す。

「番号教えてくださいよ~♡」 なんてさ? ワンチャン行けますよ?って顔して言うからさ?
そりゃ教えるよね。 エロそうな顔してるし? こっちは童貞だし?
乳揉みたいし?

いざ連絡し、遊びの約束しようとしてもいっつも仕事。
土日だろうが平日だろうが 「その日忙しくて、すいません。」 だ。

これはまずい、どういうことだ。

この子は過労死してしまう! と心配して労働基準監督署に通報してやろうかと思ったよ?
そしたらさ?

一緒に合コンいったあっちゃんが


「あの子意外と巨乳だったわ」 


って。

なるほど。 

うん。

なるほど。

巨乳だったのか。

そこは大切だけどそこじゃない。

俺と連絡先を交換することを口実に全員で交換したわ。そういえば。

あのビッチの狙いはあっちゃんだったってことだ。

俺じゃない、残極な現実を突きつけられた。


つまり・・・・・・あれか?


今回も俺じゃない、ってことか!?


よつばか!?

よつばはとても心配そうな顔で俺をみている。


==========


続く('ω')

 

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世の中性癖 7話予定 「鑑定がしたい」

一話はこちらから('ω')↓

 

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「よ、、、よつば、お前なんなん!? 」

周りにいる人全員の視線がよつばに集まる。
よつばはキョトンとしており、 「 え!? もう出たの? 」 とか言いそうなくらい予想外って顔してやがる。
男の子にも事情があるのだ。


それにしたってどう考えても普通じゃないよな!?


【名】  花岡 よつば (人間)
【ランク】 E
【ジョブ】 ==
【ステータス】 体力 30   魔力 70   知力 50   力 20  俊敏 20  
【スキル】 弓術 level 1  算術 解体   
【属性】 ∞
【特殊】 聖神の寵愛     

ジョブはなんにもついてないから表示されないと予想できる。
ステータスは基準がわからない。置いておこう。
スキルに弓術ってあるのはこいつが中学から弓道部だったからか?
弓術level 1か。なんか使えそうだな。

俺も弓道部にさえ入ってれば。


弓を引いてる女の子を合法的に後ろから眺めてワキチラできたのに。
ワキペロもしてみたい。
俺の中のやってみたいことランキング3位だ。


算術もわかる。 大卒だしな。 
解体はなんだ? 物騒だな。。。まぁいい!!!
ここまではいい。


問題はこの後だ。


【属性の∞】 極めつけは 【特殊 聖神の寵愛(ちょうあい)】 だ。


「すいません・・・・・・ どういう状況ですか? 」


こいつはゲームとかしないのか? なんとなくそのカード見たらなんかすごい!くらい思うだろうに。

受付嬢は動揺しながらも説明を始める


「え・・・とですね、よつばさんはジョブはまだ表示されていません。 なんのジョブにもついていないってことです。
ステータスは 知力と魔力がとても高いです。 数値だけ見ればCランク以上です。 弓術はそのまま弓のたしなみがあるようですね。 解体は生物の解体・剥ぎ取りのスキルですね。 」

「弓は使ったことがあります。解体は実家が牧場で肉用の牛とか育ててましたし、お手伝いもしていました。」


こいつ実家で肉牛やってたのか。なるほど。そんな事言ってたなそういえば。


「属性ですが、よつばさんはまだ属性が固まっていない、ということだと思います。普通は成長するにつれてある程度自分に馴染む属性が定まってくるのですが、よつばさんはなぜか定まっていません。」
 
「それは悪い事なのですか? 」

「いえ、そういうわけではありません。 これから馴染む属性が定まってくるのではないでしょうか。 逆にいえば、好きな属性を伸ばせるのではないでしょうか。 そしてもう一つ、突出しているのが・・・・・・」


受付嬢は一拍おくと


「特殊能力 【聖神の寵愛】 です。 これについては私もよくわかりません。 というよりも、見たことがないのです。 超級レア能力といっても良いと思います。」


超級レア!?
よつばはそんなスペシャル技能持ちなの!? 俺は!?


「普通は 【寵愛】 ではなく、 【加護】 とか、【恩恵】なのです。 どうやらその上のようですが・・・」


受付嬢はカウンター内にいる同僚にも視線を向けるが同僚も応えられないようだ。
なんとなくギルド内の空気が変わったように感じる。

なんかこれ伝説の勇者キタコレ!! ってなってない?大丈夫?
まだよまだ、本番はこれからよ?
イクの早すぎるから。


それに、こいつは電車に乗る度にICカードの残高なくて改札鳴らす常習犯よ?
毎回1000円づつしかチャージしないからそういうことになるともう1万回は言ってる。


まぁいい。


これからが本番だ。 こんなちんけなよくわからん性の神様の寵愛を受けてるようなビッチで驚いてもらっては困る。


「よつばさんには教会に行くことをお勧めします。この街にもありますので後で立ち寄ってみてはいかがでしょうか。」

よつばは俺をチラっと見てくるので頷いてやる。


「わかりました。 協会に行ってみようと思います」 


特に当てもないし、協会ってとこにもあとで行ってみよう。
生でシスターを見れる良い機会だ。


「それよりおねいさん、俺の鑑定はどうしたらいいですか? 鑑定できないとカードも作れないですよね・・・」


そんな話をしていると


「ちょっと今回のようなパターンは初めての経験でして、マスターに確認して参りますのでしばらくお待ち下さい」

「やっぱり!? ですよね!!」


俺が言い終わる前に受付嬢は奥に引っ込む。 


ついに俺の時代がきたか。
よつばはメインデッシュを盛り上げるための前菜、いわば前戯だ。
よつばの前戯は完璧といっていいぐらいに盛り上がっている。
さすがは性神の寵愛を受けているビッチだ。
俺もその期待に応えねばなるまい。
一人で先にいくことはしないから安心しているがいい。
いくときは一緒だぜ?

よつばはアンドラから色々と質問攻めにされているようだ。
珍しい能力に高い知力に魔力。
これからの成長が期待できる貴重な人材だろう。
ギルドにいる冒険者もよつばに興味ありげな視線を向けている。


だがそれも俺の鑑定までだ。


奥からいかにも魔法を使いそうな老婆が出てきた。老婆の年齢なんてまったく予想がつかない。
おじいちゃん、おばあちゃんは正直違いがわからん。
おじいちゃんはおじいちゃんだし、おばあちゃんはおばあちゃんだ。

おばあちゃんよつばを見て少し目を丸くしたが納得したような顔をしている。
こいつは合格だ、とでも言いそうだ。

俺を見ると


「これは・・・・・・ どういうことじゃ? なぜ生きていられる? 」


ボケか?

この老人はボケが始まっている。

失礼な老婆だ。
伝説の勇者を目の前にして何を言い出すんだ。


「いやいやいやいや!! 生きてますよ!? 何を言い出すんですか!」

「ふむ。 生きておるよだな。 それなのに石板が反応しないのか。 一つ試してみるか、
スフレ! こっちに来なさい!!」


おばあちゃんが叫ぶと奥から「ハーイ!」と声が聞こえまた受付嬢がきた。

何人受付嬢いるのこのギルド。
ここに就職させてくださいなんでもします。


「こいつにマナアシストしてやれ」

「ハーイ」

スフレと呼ばれた受付嬢は俺の手を取ると両手で握りしめ何やら唱えはじめる。



「マナアシスト!」



 



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続く('ω')

 

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世の中には 6話予定 「鑑定結果」

一話からはこちら('ω')↓

 

 

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街の商店街は門からすぐ近くの場所にあった。
色々な看板が見え、描かれている絵からなんとなくどんな店なのかわかる。
例えば 剣と盾の看板。 まぁこれはそのまま武器や防具ってとこだろう。
本の看板。 本屋かな。 杖の看板。 杖?? 杖の専門店か?? 
他にもパンっぽいものや薬草、ジョッキ、いろいろな看板がある。
俺が大好きなヒワイそうな看板を探したがそれはなかった。
まぁヒワイそうな看板ってなんだろな?
パンツの看板か?
そもそもアンドラ、穿いてんのか?
パンツなんてもの無い世界じゃないのか?
俺得!!

ノーパンアンドラはその中で薬草の看板の店の前で


「ここでその薬草は売れるよ。 あんたら見た感じ何も持ってないし仕事もないよね? 」

「はい。何にもないですね。金も仕事も。。。。」


ついでに女性経験もない。
アンドラにはパンツがないんだろう。


「まぁ、薬草売ってから考えようか。」


アンドラはそう言いながら店に入る。
前掛けをかけた性欲の強そうな顔のおっさんがカウンターにいた。
チラっとこちらも見るも「いらっしゃいませこんにちは!! 」なんて声もない。
この世界のお店はこんなものなのだろうか?
アンドラはさっそく定員と交渉している。

「南の森の摘みたて薬草だよ。 さっき取ってきたんだ、高く買ってよ♡」

「見せてくれ。」


定員の前に俺とよつばは持っていた薬草を全て乗せる。
俺は念のため少しだけポケットに残しておいた。
何があるかわからんしね。


「全部まとめて薬草22個分ってとこだな、 440Gだ。」


性欲の強そうなおっさんは薬草22個分と見たようだ。ちょろまかしてないだろな?
この世界での金銭の単位はG(ゴールド)と呼ぶらしい。


「一個当たり22Gってことですね? そんなものですか? 」


俺はアンドラに聞くとアンドレはちょっと驚いた顔をしたものの


「まぁそんなものかな。 妥当なところ。相場は一定じゃないしね。 」


おっさんから440Gをもらう。


「それじゃあそこから100Gだけもらっておくよ♡」


アンドラに100Gも持っていかれたが、まぁいいだろう。
正直物価がわからないので高いも安いもさっぱりだ。
その金でパンツでも買ってくれ。


「よつば、とりあえず二人で割って、170Gづつ持ってようか。それともまとめて俺かよつばが持っておく? 」

「とりあえず先輩が持っててください。私ポケット浅いので。」

「おい、そこのお前、算術ができるのか? 」


性欲の強そうなおっさんが会話に割り込んできた。


「四則演算はもちろんそれなりに。あ、よつばもできますよ」


となりのよつばを指さして応える。


「四則演算? 加える、引く、かける、か? 」

「まぁそれ以外にも 」


性欲のおっさんは俺達に興味を持ったのか、上から下までジロジロみられる。
よつばの時には乳を中心に見ていた。


「まぁいい。これからも利用してくれや」


俺たちは店を出たが、さてどうしたものか。
これからの当てがまったくない。
今は何時ぐらいだろう。 日の傾き加減から午後四時過ぎってとこだろうか。
アンドラを見ると目が合い


「さて、次は冒険者ギルドで適正見てもらおうか」

「そうだった! 俺の勇者適性発現イベント!! 」

そうだった、そうだった、メインイベントは雑草売りじゃない、俺の勇者発現イベントだった。
国中からちやほやされるハーレムイベントを今から起こす。
よつばは俺の顔がにやにやしているのにあきれているが、適性を見ることについては楽しみなようだ。
これからどんな適正が見れるのだろう。

それにしてもどんなのだろう? シンプルに

【勇者】 とか 【賢者】 とかか?

【全属性適性】 とか 【全属性耐性】 【闇属性無効】 【成長補正】 とかか?

どう考えても無双だと思える適性があるはずだ。
じゃなかったらこんなとこに飛ばされる理由がない。

アンドラの後をわくわくしながらついていくと、ドラゴンの看板が掛った割りと大きい建物についた。

エスタン風のドア、と言えばいいのだろうか。 両開きの扉を開けると奥にはカウンター、手前には冒険者と呼ばれる人達が打ち合わせでもするためだろうか、テーブルとイスがそれなりにある。
ざっと見ただけでも20人くらいの人達がいる。

食事も出しているようで気の早い人達が料理をつついている。
僕もたいがいお腹すきましたね。
適性みたら食事にしよう。


「とりあえず、あんた達身分証もないんだろう? 冒険者登録しておけば何かと便利さ。 場所によっては冒険者割引もあるし、買取も高くなる場合もある。仕事がないなら登録しておいて損はないと思うよ。」

「検査だけ受けることはできないのですか?」

「登録時に検査をするからね。検査だけでもお金かかるよ。だったら登録したほうが得さ」


まぁそんなものか。よつばも異論はなさそうだ。

アンドレはさっそくカウンターから声をかけると、受付の方がこちらに来た。


「こんにちは~。 アンドレさん、お仕事の完了報告ですか? 」

「いや、森で会ったこいつらの登録をお願いしたいんだ。説明からお願いできる? 」


受付の方は20代前半だろう。長い金髪を頭の上でお団子にしている。
ギルドの制服だろうか、襟付きのシャツの真ん中にリボンのついたかわいらしいデザインだ。
ブルーの瞳でこちらを値踏みするようにジッと見つめてくる。


「それでは登録について説明いたします」


長々と説明が続いたが要約するとこうだ。

冒険者登録をするとギルドの依頼を受けることができる。
冒険者はランクごとに分かれており、下から 

E 駆け出し D ルーキー C いっぱし B 手練れ A 熟練 S 超級  SS 神域

といった具合だ。

Cランクになってやっと童貞卒業、みたいな感じだろう。
Bランクにもなれば敬意を払われるくらいにはなるらしい。

ランクの上がり方は依頼の達成数・貢献度、狩った魔物、偉業、ダンジョン踏破等、様々な要素で上下する。
童貞だからといって不当に評価されることもない。
公平な制度だ。

ランクが低いからといって受けられない依頼はないが、ランクが高いと報酬も高い。といった具合らしい。

冒険者にはカードが配布され、そこにステータスやランクが表示される仕組みだ。

どこまでの情報をカードに出すか出さないかは任意に決められるようだ。

他にも細々と 「依頼には誠実に取り組むこと」とか「冒険者同士は助け合いましょう」とか、そんな道徳的なことを言っていたが対したことは言ってなかったのでまぁいいだろう。


「それでは最初の登録料は一人 100G です。こちらの石板に手を置いてください。」


一人100G!? 高すぎると思うが金銭感覚がわからない。 二人分払ったらもう残りは140G。 これで何ができるんだろう。
だがしかし、俺は勇者だ。これぐらいでケチケチしてらんない。二人分のお金を払う。
それにしてもあれだな、前座が必要だ。

「よつばさん?  よつばさんからどうですか? 」

「え!? 先輩楽しみにしてたじゃないですか? 先輩からでいいですよ? 」

「そ、そう!? なんか怖いわぁ! ビリビリしたらどうすんの!? 」

「先輩ビリビリしそうなのに私からやらせるんですか!? この童貞!! 」


もういい!!
よつばは俺が童貞なのがよっぽど嬉しいのか、事あるごとに童貞呼ばわりしてくるようになった。
昨日までは尊敬されている先輩だったはずなのに、だ。
童貞ってそんなに罪か?
会社ではちょこちょこついてきては俺のことを質問攻めにしていたくせに。
誰のおかげで業務を覚えたと思ってるんだまったく。

石板を見ると、辞書くらいの大きさでそこまでの大きさはない。


「いいの? 俺からでいいの?  」

「いいですよ、どうぞどうぞ」

「ほんとに? ほんとにいいの?」

「はやくしてください童貞勇者様」

このガキ!!
仕方ないので手を添えてみる。
ビリビリとか・・・・・・しないよね?


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


なんだ? ずいぶん時間がかかるな。 こんなにかかるものなのか?
俺の潜在能力が高すぎるせいかもしれない。
受付嬢を見ると、困った顔で石板をみている。


「これ・・・ いつまで触ってれば? 」

「いえ・・・・・・ 普通ならすぐに反応するはずなのですが。  なぜでしょう? 」

「壊れた? 」

「そんなはずは・・・」

受付嬢は石板に自分の手をかざす。石板は青白く光ったかと思うと受付嬢の持っていたカードに名前らしき文字が見える。


「反応・・・ちゃんとしますね・・・」


なんで俺は反応しないの?アンドレとラッシュもわけがわからない、といった顔をしている。
あ、ラッシュさんいたのね。でかいくせに存在が空気すぎる。


「先にそちらの方から鑑定しましょうか」

受付嬢はよつばに手を向ける。
まぁそのほうが良さそうだ。
多分俺はとんでもない能力者なんだろう。
あんなちんけな石板ごときでは測れない能力者だ。
伝説のスーパーヤサイ人みたいなところあるしな、俺。

成長すれば腕を伸ばしたり火を噴いたり、地球上の元気を集めて玉にすることだってできるだろう。


「とりあえず、俺は測れないみたいだからよつばからやってみようか」

「はい、なんかドキドキしますね♪ 」


よつばは俺が測れなかったことなんか忘れてワクワクしながら石板に手を置いた。

こいつも反応しないんじゃないか? 異世界人?? の俺らには反応しないとかじゃないだろうな。
そう思ったのだが石板は青白く光るとカードに文字を移しだした。


【名】  花岡 よつば (人間)
【ランク】 E
【ジョブ】 ==
【ステータス】 体力 30   魔力 70   知力 50   力 20  俊敏 20  
【スキル】 弓術 level 1  算術 解体   
【属性】 ∞
【特殊】 聖神の寵愛     


「「「「え!?」」」」

受付嬢含むアンドレ、ラッシュもよつばのカードを見て驚愕の声を上げる。


よつば!? なんだこいつ!? 

世の中には 5話予定 「胸熱! 」

一話はこちらから('ω')

 

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街までの道中、所々【薬草】といわれる草を積むことができた。
この薬草はとても不思議な物で、そのまますり潰して飲むだけで軽度の痛み止め、解毒作用、傷口に塗れば止血もできるとても有用なものらしい。
アンドラはとても目ざとく薬草を見つけることができる。
その辺の草との違いは確かにあるのだが、よく見なければわからないほどの違いだ。

「陽介、ほらそこ、あそことそこ!」 

アンドラに出される指示に素直にしたがって薬草を集めていく。

しかし・・・・・・

もうスーツのポケットは薬草でパンパンだ。
染みになってんじゃないのこれ・・・
よつばもすでにポケットはいっぱいなのか、両手に薬草を鷲掴みしている。

「けっこう取れたね、街についたら売れるから、そっから貸しを返してね♡ 」

そういうことか・・・・・・

まったく金を持っていない俺達に配慮してくれているんだろう。
どれくらいの金を要求されるかはわからないが、まさか全部は取らないだろう。
全部よこせ! とか言い出したらせめて乳を揉ませてもらう交渉をしよう。

まぁなかなか優しいところあるじゃないか。
乳だけの女じゃないな。

「いろいろと聞きたいことがあるんだけど・・・」

俺は気になっていたことを様々質問した。
それにしても質問をする度に 貸し一、 貸し二、 とどんどん借りが増えてしまったが情報はどうしても必要だ。
もはや借りは三十くらいになっているし、アンドラもどうせ忘れてるだろ。

アンドラの話をまとめると

あの小屋は休憩スポットらしい。
昔は使う人も多かったようだが最近では森の生態系が変わりあまり使う人はいなくなったらしい。
今回はあの角狼の角が必要でラッシュと一緒に来たようだ。

日本のことを聞いてみるも、【日本】と呼ばれる国は聞いたことがない。

携帯電話、車、飛行機、バイク、といったような日本社会では普通にあるものが名前すら聞いたことがない。

ここまでの話をまとめると、どうやらここは俺達の住んでいた地球、日本ではなさそうだ。

そして極めつけが。


【魔法】 という力があるらしい。


本当にあるとしたら? 魔法が使えるだなんて夢のようだ。
散々これまでゲームの中で使ってきた魔法。
派手なエフェクトで辺り一面を爆風で消し飛ばす魔法も自分も使ってみたい!
それからそれから!!

なんといっても 魅了魔法!! 気になる女子は全員俺に惚れてすぐに休憩できるところに行きたがる魔法だ。

魔法が本当にあるとしたらぜひ一度見たいし使いたいよな。

「魔法? そんなものがあるの? さすがにそれはないでしょ 」

半信半疑のまま俺はアンドラに言い放ったがアンドラは「見てなよ?」といったかと思うと俺に手をかざし


『 私の魔力を糧としここに具現してみせよ! アクア! 』

呪文!? アンドラのかざした手から俺に向かって勢いよく水が噴き出す。

「水!? 」


俺は飲んだ。

とにか飲んだ。

飲めるのか確認もしていないが喉が渇いていたのだ。

アンドラから出ている水だと思うといくらでも飲める。


「飲んでる!? 喉乾いてたなら言えばよかったのに!」 


よつばが羨ましそうにこちらを見てる。


「よつばも濡れ濡れのくちゅくちゅにしてやってください!」

「え!? 飲めるだけでいいですから!! 少しだけください!! あと先輩その言い方すごくイヤ!! 」


この水は調整できるのか、アンドラは自分の荷物から小さな鍋、スキレットっていうのか?
小鍋に水を入れるとそれをよつばに渡していた。


「先輩、本当に魔法がある世界なんですね……」

「うん、これはさすがにびっくりするわ・・・ けどこれで完全に元の世界とは違うってわかちゃったよね。」

よつばもそれに気づいたのか複雑な表情をしている。
こうなると【日本に帰る】のではなく、【元の世界に帰る】となりハードルがとんでもなく上がった気がする。

便器にでも座ってきばっていればそのうち帰れそうな気もしないでもないが、とにかくまずはこの世界で生活できるようにしよう。


「魔法はさ、人ぞれぞれ適正ってもんがあるのよ。私は水ね。 そっちのラッシュは土、らしいけど魔力が少ないからたいしたものは使えないみたいよ。」

「適正? どんな種類があるんですか?」

「あたしもそんなに詳しいってほどでもないんだけどさ。  火 水 風 土 光 闇 が基本らしいけど、他にも呪術とか付与とかけっこう色々あるみたいよ」

「せっかく魔法が使えるのにそんなに適当なんですか? 」

「適正があって魔法が使えても魔力がないと使いこなせないからね。その辺は街についたら調べれるよ。調べてみたらいいんじゃない? 」

おおおお!? 俺も魔法使えるってこと!? そういえばこの世界にきてから絶大な力が宿ったかのような雰囲気を感じないでもない。 荒ぶる力が俺の中に渦巻いているのをギンギンに感じる!!ような気もする。

あらゆる魔物を一撃で消し飛ばし全ての攻撃を無効化する障壁を張る。
出会う女子は片っ端から俺に惚れざるを得ない。

伝説の魔法を使いこなし賢者とか大魔導士とか呼ばれちゃうわけだ。
大魔導士の俺様にかかればアンドラへの借りなんてあっという間に返せそうだし近いうちに乳も揉めるだろう。

異世界チョロい。

こっちの世界で英雄として脱童貞を目指し第八婦人くらいまで娶るのもいいな。
よつばも希望するならその中の何番目かに入れてやらんでもない。


「先輩・・・・ なにか気持ち悪い事考えてる顔してますよ・・・・ 」

「いや、俺とかたぶん大魔法使いじゃん? 国を救う英雄系じゃん? 伝説の勇者とかじゃん? 」

「は・・・・・・ はぁ。そうなんですか?」

「だから今ここにいる、みたいな。 わかるわぁ。 」


ほんとわかるわぁ。 自分で納得しているとよつばは俺と会話する気を無くしたのか


アンドラさん、あとどれくらいでつきそうですか?」

「だいぶきたから、もう三十分もあればつくと思うよ」


森を抜けると街までの道があった。車輪の後か? 道には車輪の後がついている。
車はないようだが馬車くらいはあるのか?

アンドラ達が角狼を狩りながら進んできたおかげで帰り道は平和だ。

そうこうしているうちにエアロの街が見えてきた。
あまり高くはないが、2メートルくらいの石の塀で街全体が囲われている。
外敵から街を守る必要があるってことだろうが、とにかくこれでなんとか一安心できそうだ。
街並みはまさに中世ヨーロッパ。
石を中心に壁が作られてあり部分分に木を使っている。
赤茶色の屋根が雰囲気を出している。

門には守衛がいるもののフリーパス。
特にチェックすらされなかったが、俺とよつばの恰好が珍しかったのかチラっとみられていた。
まぁ、恰好もそうだが両手に抱えた薬草も異様だろう。
リュックくらいは欲しいものだ。


「ここまできたらもう安心だよ! 二人ともお疲れ様! その薬草処分した金額の半分で手を打とう! 」


満面の笑みでアンドラは俺達に提案してくる。
俺も特に反対するつもりはない。
命の恩人だしな。
よつばも異論はないようだ。

「それでいいですよ、本当にありがとうございます。」

「商店街行ってからギルドに行こうか、適性見て見たいんでしょ?」 

「はい!! お願いしますアンドラさん!! 」


俺はこれから始まるであろう英雄道に胸躍らせながら商店街への道を歩き始めた。

 

世の中には 4話予定 「狼ちゃん!? 」

一話はこちらから('ω')

 

aitamada.hateblo.jp

 

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狼ちゃんいるやん!?

俺は刺激しないようにそっと扉を閉め、小声で


「よつば!! 外に角狼!! こっちをみてらっしゃる!!  刺激しないように音を立てるな!! 」

「!? はい!! どうしましうう!? 」


慌てふためき、青ざめるよつばはまともに会話になってない。
外の様子を窓から覘くと、どうやら外に出るのを待っているようだ。
角狼は警戒心丸出しでこちらを睨みつつ牙を剥き出しにしている。

てか!! 窓に飛び掛かられたら簡単に入り込まれそうじゃないか!?

とりあえず尖らせた木材、槍を窓に向けて構えておく。


「よつばも槍だけ窓に向けて構えておけ!! 飛んで来て刺さればラッキーだ! 」

「うううう!! 」

泣きそうになりながらも言われた通りに窓に槍をむけるよつば。
どうする!? このままやり過ごせるのか? 
こんなちんけでゴミみたいな槍で倒せるものなの!? 
あああ!? 棒の先に短剣を縛り付けたほうがよかったか!?

どうしよう!? 

こうなったら片腕を噛ませてる間に短剣を突き刺す!?
自己犠牲でもってよつばの好感度上げてワンチャン!?

噛まれた経験も刺す経験も女性経験もない俺に……できるのか?

なんとなくよつばの胸元に目がいく。
よつばは隣で震えながらも気丈に槍を構えており俺に胸元を覘かれていることに気付いていない。
小さくても見る分には十分や。
いや? 意外とあるか? 

良く見える位置に角度を変えようとすると角狼が目の端に見えとたんにテンションが下がる。

あいつをどうにかしないとだめか……

このまま角狼が動かない場合でも水も食料もない俺たちはピンチだ。
はやめに探索をしたいのにこの状況はまずい。 このままでは生き残れない。

しょうがない。

よつばにはっきり言おう。

「よつば 」

「はい 」

「実はさ……」

「な、なんですか? なにか思い浮かんだんですか? 」

「あのさ……  俺」

「はい」

「童貞なんだ!! だから死ぬ前にワンチャン!! ワンチャンだめですか!? 」

「はあああ!?」

「狼なんかに襲われる前に!! 」

「バカアホ!! こんな時に何いって 」


バギャッ!!

扉を破られた!? 木材がへし折れたかのような音がせまい小屋に響き渡る。

角狼が今の騒ぎに興奮して混ざりたくなったのか扉に突撃をかましたようだ。

俺は一人で楽しむ派だ! 邪魔をするな!! あんにゃろう!!

角の当たった部分だろうか? 扉に穴が開いてしまっている。


「先輩のせいですよ!? どうしてくれるんですか!? 」

「お前がでかい声だすからだろ!? 」

「あんなこと言われたら大きな声も出しますよ!!この童貞!! 」


窓から角狼を見ると、今にももう1度突撃してきそうな雰囲気を感じる。


「待て待て待て待て! まずはあの角狼どうにかしてから!! それからじっくり!! 」

「じっくり!? 」


もう一度大きな声をあげそうになるよつばだが、角狼の存在を思い出したのかとたんに不安げな表情になる。
角狼、このまま扉に突撃してくるならそこを突き刺してみるか?
俺が動いたのを察したのか、こちらをジッと睨みつけており動く気配がない。
賢いやつだな角狼。

これは長期戦になりそうだ…… これではこちらの体力が尽きるのが先だろう。

どうしたものか……

しばらく角狼との睨み合いを続けているが、諦めて去る気配は感じられない。

この緊張感でよつばもだいぶ疲れてきているようだ。

考えあぐねていると


「先輩。私おとりになります」


意を決した表情のよつばはとんでもないことを言い出した。


「なんで!? 何いってんの!? 」

「このままここにいても私たちまずくないですか? それならイチかバチか、あの角狼を撃退するしかないと思うんです」

「なんでお前がおとりなんだよ! 」

「いいから! 抵抗はしてみますから、私が襲われてる間に角狼をその棒と短剣でどうにかしてください! 」


よつばの顔に、その表情に、躊躇いがない。
なんてバカなことを言い出すんだこいつは!!


「やめろ!! 」


俺が言い終わる前によつばは槍を不格好に構えながら外に飛び出す

慌てて手を伸ばすが間に合わずよつばは飛び出してしまう

追いかける俺が見た光景は



鮮血が舞う中で座り込むよつばの背中と




でかい斧を振り下ろした大柄な男と赤毛の女だった。



「よつば!? 大丈夫か!? 」 


放心状態のよつばに駆け寄るとどうやら怪我はないようだ。
少し赤く染まっているもののどうやら角狼の返り血だろう。


「せんぱぁい……」

よほど怖かったのか安心したのか、涙を浮かべてすがりついてくる。
血がつくから!! 汚い!! なんて言える雰囲気じゃない。
仕方ないのでそのままにさせてやりワンチャン乳でも揉んでやろうかと企んでいると


「お前たち、何してんの? 」


赤毛の女のほうが声を掛けてきた。

空気読めや!! 内心舌打ちしながらも冷静になる。l

赤毛の女の着ているものはなんの皮素材なんだろう。 
硬い皮で作られているであろう、濃い茶色の胸当てにいろいろなものが刺さっている皮ベルト、短い皮スカートに脛当てにブーツ。
キュートなおへそは丸出しでペロペロしていいのか聞きたくなる。
真っ赤な赤毛はショートに切られており動きやすそうだ。
年齢は10代後半だろうか? 俺達より年齢は下だろう。
切れ長の目は賢そうな印象を受ける。
瞳の色が赤いな。

それにしても胸当ての上からでもわかる。この子はそれなりに巨乳だ。
よつばよりは確実にある。

動きやすさを重視した格好はまさにシーフ、といった感じではあるが、お胸は少し邪魔そうだ。
よつばに分けてあげて。

もう一人、でかい斧を振り下ろした大柄な男は角狼の角を短剣で切り落としていた。

身長は2メートルはありそうなこの男は同じような革製の鎧を着ているが肩の部分はない。
肩が動きやすいように? かとも思うが単純にサイズの問題ではないだろうか。

胸から腰までを覆う形の鎧で下半身はそれぞれパーツ別に太もも、脛、ブーツと身に着けている。

この革製品は流行りなのか?

短く刈り込まれている髪に年齢は俺よりも上に見えるな、30代に見える。


「いや・・・・・・ ここは・・・ どこですか? 」

「……… は?」


沈黙の時間が流れる。

赤毛の女の子は沈黙に耐え切れなかったのか


「ここはエアロの街、南の森。 そんな恰好で何やってるの? 」


ここはエアロの街から南の森、らしい。
近くに街があるのか、本当によかった。
というか、エアロの街ってどこの国だ?
日本にあったか?
よつばも同じことを考えたのだろう。
俺と目が合う。


「でさ。 お兄さん達話聞いてるー? 」


「あ! すいません!! 実はどうやってここに来たかもわからなくて困ってたんです 」

「は? どういうこと? 」

赤毛の娘は疑いの目全開でこちらを見ている。


「トイレでおしっこしてたらこの小屋にいて・・・」


これまでの経緯を話すがいまいち信じてもらえてない。
俺だって信じられない。
酒飲んで座りションしてたらここにいたよ、なんて話信じるほうが異常だ。
そもそもここが外国ならなぜ言葉が通じるのかもわからない。
日本語だよな?


「まぁ信じられないけど困っているのはわかったよ。私たちも今から街に戻るところだけど一緒にいく? 」

「「ぜひ!!! 」」

よつばと一緒に食い気味に飛びつく。


「貸しにしておくからね。後で何か返してよ? 」

「よつばにできることなら……」

「なんで私を売るんですか!? 先輩払ってくださいよ!! 」

よつばは怒っている。やっぱり女の子の日か?


「あなたはよつばさんって言うのね。私はアンドラ。 こっちのでかいのは ラッシュ。 こいつはぜんぜんしゃべらないけどそういうやつなんだ。気にしないで。 」


ラッシュさんは軽く手をあげて応えてくれる。

この赤毛アンドラちゃんで、大男はラッシュさんか。


「私は 山崎 陽介 です。 こいつは」

自分で名乗れ! との意味を込めて目で合図を送る

「よつばです! 花岡 よつば っていいます! 」

街にいけることが嬉しいのかよつばのテンションは上がりまくりだ。


「ん? やまざき? はなおか? 貴族だったの? 」 

「え?」

どうやら話を聞いてみると、この場所には名前以外に性を持つことはないらしい。

持っているのは貴族か王族から認められたもの、国への貢献が認められたものが性を名乗ることが許されるらしい。
貴族じゃないし、無用なトラブルも避けたいところだからこれからは名前のみを名乗ることにしよう。
街までの道中、様々な話を聞くことができた。

質問をする度に 貸し一、 貸し二、 とどんどん借りが増えてしまったが情報はどうしても必要だ。
もはや借りは三十くらいになっている。
巨乳のくせにケチ臭いやつだ。

ケチ赤毛の話をまとめると

あの小屋は休憩スポットらしい。
昔は使う人も多かったようだが最近では森の生態系が変わりあまり使う人はいなくなったらしい。
今回はあの角狼の角が必要でラッシュと一緒に来たようだ。

この世界に日本、と呼ばれる国は聞いたことがない

携帯電話、車、飛行機、バイク、といったような日本社会では普通にあるものが名前すら聞いたことがない

どうやらここは、【異世界】らしい。

だって。




魔法という力があるようだ。