世の中性癖 第8話 「伝説の」
一話からはこちら('ω')↓
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「あれれ~??? 」
スフレと呼ばれた受付嬢は俺の手を握ったままこちらを見つめ、首をかしげる。
そのしぐさはとても可愛らしくオッキしそうだ。
いや、オッキした。
男の子だからね。
女性の手を握ったのなんていつぶりだろう。
びっくりするくらい記憶にない。
強く握り返していると首筋になんとなく無言の圧力を感じるが気にしない。どうせよつばだ。
今日、俺はこれから童貞を捨てるのだ。
スフレは困った表情で
「すいません、私から何か感じませんか? 」
「感じます。 お付き合いを前提に結婚してください。」
間違えた。 結婚を前提にお付き合いか。
まぁどっちでも結果は一緒だ。
結局は子作りをしたい、ってことだ。
もう俺はこの手を一生
「ブチブチブチッ!!」
え!? 俺の耳ちぎられた!?
びっくりするぐらいの腕力で耳を引っ張られる。
どうやらよつばが俺の耳を引きちぎらんと力任せに引っ張ったらしい。
「何言ってんですか先輩!! そんなことしてるならもう協会行きましょうよ! 」
「ごめんごめんごめんごめん! 鑑定したい!! 鑑定したいから!! 俺伝説の勇者か大賢者だから!!」
俺のセリフにギルド内が少しざわつく。
よつばが超級レア能力持ちだ。
その連れの俺にも期待が膨らんでいるのがわかる。
「ちょっと! おばあちゃん!! この人のこと鑑定してやってください!!」
おばあちゃんは何やらぶつぶつと考えごとをしているようだったが、何かを思いついたのだろう。
「お前さん、私と手を繋ぎながら石板に触れてみなさい」
内心「え~・・・・」とも思うがそんなこと言えば俺の耳はなくなるだろう。
さっさと鑑定してもらえるならそれでよし。
俺はおばあちゃんと手を繋ぎ石板に手をのせる。
介護しているような気持ちになる。
あたたかいおばあちゃんのお手手。
このおばあちゃんはちゃんとお家に帰れるだろうか。
鑑定が終わったら最寄りの交番に連れて行ってあげよう。
そして、石板は青白く輝きはじめた!!!
【名】 山崎 陽介 (人間)
【ランク】 E
【ジョブ】 ==
【ステータス】 体力 42 魔力 × 知力 59 力 36 俊敏 27
【スキル】 算術 指導
【属性】 ==
【特殊】
え?
【全属性適性】とか【勇者】 は?
伝説級のスキルはどれ?
これ違うわ。
これは俺じゃない。
おばあちゃんのことじゃないのかこれ。
「これは私じゃないですよ、おばあちゃんも陽介って名前なんですね?」
「・・・・・・わしはヨランダじゃ。これはお前じゃ」
普通過ぎてどうしようもない。
どう反応したらいいの?詰んでない?
何のためにこの世界に来たの?
「えっと・・・・・・ 説明させていただきます。 ジョブはなし、ステータスは一般的な成人男性並みですが、知力が高いですね。
スキルは【算術】に加えて【指導】。【指導】は教えるスキルです。」
最初に説明をしてくれた受付嬢が説明を始める。
「は、はい。」
「属性は、ありませんね・・・・・・。特別な能力も今のところありません・・・・」
「属性がない、とは? よつばのようにこれから伸びたりしないんですか?」
「よつばさんは属性があるんですよ、表記が違いますよね。 よつばさんは ∞。 陽介さんはありません。」
「そんなのずるい!!書き足してください!! 」
「そ、そんな事できませんよ! それからもう1つ、お伝えしないといけないことが・・・」
これ以上何を言うつもりだ。
ステータスは並、スキルも対したものがない、属性もない。
スキルに【指導】があるが、これは俺の経験だろう。
俺の勤めている会社は教育サービス業だ。
仕事で教育については学んでいるし実践もしている。中学生向け塾講師のアルバイトもしていたしな。
会社でのよつばのトレーナーは俺だ。
それ以外の特殊能力もない俺にこれ以上何を言うつもりだ。
まさか童貞ってことがバレてる?
公衆の面前で童貞をバラされたらもうこの街にはいられない。
あの小屋に戻ろう。
再スタートだ。
受付嬢は言いづらいのか、なかなか言葉を続けない。
まごまごしているうちにおばあちゃんが口をはさんだ。
「お前にはな、魔力もない。 この世界に生きるものは全て体内に魔力を持っている。 石板は魔力に反応、感知してその者の能力を示す魔道具じゃ。 魔力のないお前には反応しなかったということだ。だからわしが仲介した、っということじゃ 」
「魔力がないってどうしたらいいんですか!? 」
「知らん。 現に生きているんだから大丈夫じゃろ。ただお前には魔力を扱うことはできないだけじゃ。」
「それは・・・・・・ これから私は生活していけるのでしょうか・・・ 」
「魔力も能力もないだけじゃ。 算術も指導もあるじゃろ。 どっかで働き口探せばよかろう」
魔力も能力もない・・・・・
嘘でしょ?
いやいやいやいや
嘘でしょ??
伝説の勇者的なポジションになると期待しすぎていたせいで落胆がハンパなすぎて股間がもげそうだ。
散々上げて上げて上げて落とされた気分だ。
若かりし頃の合コンを思い出す。
「番号教えてくださいよ~♡」 なんてさ? ワンチャン行けますよ?って顔して言うからさ?
そりゃ教えるよね。 エロそうな顔してるし? こっちは童貞だし?
乳揉みたいし?
いざ連絡し、遊びの約束しようとしてもいっつも仕事。
土日だろうが平日だろうが 「その日忙しくて、すいません。」 だ。
これはまずい、どういうことだ。
この子は過労死してしまう! と心配して労働基準監督署に通報してやろうかと思ったよ?
そしたらさ?
一緒に合コンいったあっちゃんが
「あの子意外と巨乳だったわ」
って。
なるほど。
うん。
なるほど。
巨乳だったのか。
そこは大切だけどそこじゃない。
俺と連絡先を交換することを口実に全員で交換したわ。そういえば。
あのビッチの狙いはあっちゃんだったってことだ。
俺じゃない、残極な現実を突きつけられた。
つまり・・・・・・あれか?
今回も俺じゃない、ってことか!?
よつばか!?
よつばはとても心配そうな顔で俺をみている。
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続く('ω')
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