世の中には 2話予定 「え? え!?」
一話からはこちら('ω')
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「ファ!?」
俺は飲み屋のトイレの個室にいたよね?
おしっこして! チンチンの湯切りをして! 扉を開け外に出た!
そして
「なんなのよここ……」
ここはさっきまでいた飲み屋のこ汚いトイレじゃない!
立ちションする男性用小便器さ? たまにトイレによっては
『 もう一歩前へ! 』
とかあるじゃん? それ読んだらさ?
ちゃんともう一歩前でろや!!
床にションベン散りすぎやねん!!
てかもうさ? 床狙ってんのか!? ってくらいに飛び散ってることあるよね?
ちゃんと狙って!? 銃口便器に向けろや! 狙撃や狙撃!!
左手を添えろや!!
どういう教育受けてきたんや!!
床を踏み鳴らしたいが、なんとなく騒いじゃいけないような気がして我慢する。
それにしても突然の状況のせいか、胸が苦しくなり思考することを頭が拒否してくる。
おしっこと便器のことしか考えられない、考えたくない。
落ち着け、落ち着くんだ陽介君!やればできる子! 俺はやればできる子!
深呼吸を繰り返し、しばらくするとだんだん落ち着いてきた。
「……ふぅ。」
一人仕事を終えた後のように精神を落ち着ける。
改めて周りを見て見ると…… 広さは十畳くらいだろうか?
小さな木造小屋の中に俺はいた。
小屋には簡素なベッドと椅子、中央に焚火のあとのような残骸があるが、だいぶ古いようだ。
窓からは外の光が差し込み、今が昼だということがわかる。
部屋には薄くほこりも積もっており、最近誰かが利用したような様子はない。
外にでるであろう扉の他にもう1つ扉がある。
俺が出てきた扉を開けてみたが、さっきのトイレはなく、ただ深い穴が開いている簡易的な便所となっていた。
とりあえず外に出て様子を見て見ようか。
俺は扉におそるおそる手をかけて押し開いた。
「まぶっ」
ここは森の中だろうか、小屋の周りは開けているが、あたりには森林が広がっている。
年末の日本にいたのに、寒くない。
むしろ暖かい、初夏のような暖かさだ。
日本じゃないのかな……。そんな考えが頭をよぎるが無視をする。
とりあえずこの小屋から離れすぎないように少しだけ歩いてみる。
静かな森は虫の声や時たま聞こえてくる鳥のさえずりくらいしか聞こえてこない。
しばらく歩いていると森の奥のほうに
「…… !? 」
狼!?
山羊のような角を頭から生やした大型犬くらいの大きさがある狼がそこにいた。
あんな狼山羊いる!?
だめだめだめだめだめだめ!
ここはだめだ、引き返そう!
背中に悪寒が走り足が竦む。
なるべく音を立てないように俺は小屋までの道を引き返した。
小屋が見えてくるととたんに安心してくる。
もうなにやらホームタウンって感じだ。
もうここで生きていこう。
外にでるなんてバカですわ。
あの狼ちゃんに喰われる未来しかない。
キモオタ引きニート生活がこれから始まるんだお。
小屋でうんこでもして考えよう。
「……ん?」
小屋に誰か、いる?
そんなわけないか、さっき出たばかりだ。
むしろ誰かいるなら話を聞きたい。
俺は扉を開けて中に入ると
「ギャーーー!! 」
頭に激しい衝撃を受ける。
なにかで思いっきり頭を殴られた。
あまりの痛さに情けない悲鳴しかでない。
なんで!? 誰にやられた!? どうする!? とにかく
謝ろう!!
「ごめんなさい!! なんでもします!! 」
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続く('ω')