あいちゃんの★世の中には色々な性癖がありすぎて異世界で異世界

異世界モノ小説書いているお(*‘ω‘ *)連載するお('ω')

世の中には性癖 16話

一話からはこちら('ω')↓

 

aitamada.hateblo.jp

 

 

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午後の昼下がり、俺達はさっそく依頼主・コメットさんの家に向かう。
俺達が教会を出ると、太郎がついてきた。
「教会にいなさい!」と何度も何度も2千回くらい言ったのだがどうしてもついてきてしまう。
首輪もしてないしリードもないから繋げとくこともできない。
仕方ないから好きにさせた。
よつばはついてくる太郎に感激して、3歩ごとに太郎を振り返ってはぴょこぴょこ飛び跳ねている。
スイーツ脳だな。

コメットさんの家は教会からさほど離れているわけではなかった。
10分も歩くと到着。古い木造2階建ての一軒家だ。
さっそくノックをし声を掛ける。


「すいませーん! 冒険者ギルドの依頼を引き受けました、陽介とよつばと申しますが、コメットさんはいらっしゃいますかー!」


しばらくすると家の中から物音が聞こえてくる。
ゆっくりと扉が開き顔を出したのは六十代くらいのおじいちゃんだ。


「おお、今回は君達が引き受けてくれたんだね。 依頼主のコメットだ。今日はよろしく」


俺達はコメットさんと軽く握手を交わし依頼内容の詳細を聞いた。

コメットさんはこの一軒家で一人暮らしのようだ。
身内は息子が一人いるが、王都で鍛冶士をしているらしい。
けっこう優秀なようで、息子自慢がすごい。

息子は10歳で鍛冶士ジョブについた 鍛冶以外にも斧を振るい魔物も狩れる 頭も良く商才もある
わしに似て女子にもモテる 14歳で童貞卒業した 等、自慢がすごい。

十四歳で童貞卒業とかすごい、と思う反面それを親父に報告すんのか?
コメットさんの息子はファザコンだな。
ファザコンリア充野郎だと言うことがわかったが、ここまでの情報全部どうでもよい。
問題は依頼内容とマネーだ。

依頼内容は簡単なことだった。
一軒家に一人暮らしのコメットさん。年も年なので使ってない部屋まで掃除するのはとっても大変。

年に数回、ギルドに依頼を出して大掃除をしているようだ。
部屋数は多くはないものの、1階には大部屋、リビングと呼ぶべきか。
4部屋ほどあり2階にも同じ構造で4部屋。
普段は1階部分しか使用していないため2階は手付かずだ。
俺達は分担しながらほうき掛け、雑巾がけをしキッチンまで掃除する。
テーブルから出窓、家具の上のほこりまで丁寧に掃除をした。

掃除時間は2時間くらいだろうか。
あまり大きい家でもなかったので二人で分担するとあっさり掃除は片付いた。


「コメットさん。掃除終わりましたがこんな感じで大丈夫ですか? 一応各部屋を確認してください。 」


膝の上に太郎を乗せ、本を読んでいたコメットさんに声を掛ける。


「ああ、ありがとう。 今行くよ」


コメットさんはゆっくり席を立つと俺達に続き各部屋を回る。
思いのほかきれいになっていることに驚いているようだ。


「こんなにきれいにしてくれたのは初めてじゃ。お前さんたち、掃除職人じゃなぁ 」


コメットさんは笑う。


「満足してくれたようでよかったです。また機会があれば仕事を引き受けさせてください。 」

「コメットおじいちゃん、今度は指名してね指名! 」


よつばはキャバクラ嬢みたいなことを言う。
指名して欲しいそうだ。
依頼の出し方には指名依頼というものもあるようで、引受人を指名できる。
指名依頼が多いとギルドの評価は上がるらしいが、掃除で指名されてもな・・・・。
この世界で伝説の掃除職人にでもなるつもりか。


「ほっほっほ。 すごくきれいにしてくれたお礼じゃ。 特にキッチンがすごい。丁寧にありがとうよ。」


コメットさんは依頼書に完了サインをしてくれた上で、さらに追加で100Gくれた。
完了サインの入った依頼書をギルドに提出することでギルドからお金がもらえるらしい。

俺達はコメットさんに挨拶をしてギルドに向かう。
ギルドにあいつ・・・・・・ アホ丸出し子はいないよな・・・・・・

警戒していたもののアホ丸出し子はおらず受付カウンターに向かう。


「すいません、依頼が完了したので報告です。」

「かしこまりました。報酬を準備しますね」


俺はサインをもらった依頼書を受付嬢に渡すと200Gを受け取った。
今回の報酬は追加報酬と合わせて300G。
30Gをママに渡して残りは270G。
もともと持っていたお金が140G。合わせて410Gか。


あれだな、あれ。


こんなん金貯まるか!? 宿と食事を教会にお世話になってなかったら詰んでるぞこれ。
真剣にお金を集める方法を考えるべきだ。
改めて依頼書が貼ってある依頼ボードをよつばと眺める。

討伐・素材回収系の依頼はEランクでもそれなりに高い。
どんな魔物かはわからないが、

【スタンドウルフ討伐 10体 2000G + 素材買取  報酬見込み3000G】
【フール―ローバー討伐 20体 2500G +素材買取 報酬見込み4000G】

そこそこ高い。
高いが戦闘力のない俺達には無理だろう。
うーん・・・・・・。


「先輩先輩、今度はこれにしましょう!」


俺の思考を中断するようによつばが依頼書を持ってきた。
依頼内容は

依頼内容:食堂キール 手伝い(急募)
依頼人 :キール(町民)
受注制限:なし 数名募集
報酬   :一日  400G
依頼者から一言:スタッフが抜けてしまい緊急で2~3名募集。夕方から夜まで、十日程頼みたい。食事の準備や注文取り、食事出しの仕事となる。男性・女性・種族を問わないが料理経験者、愛想がいいと助かる。夕食付。


夕食付!!

夕方からというのもいいな、昼間はママからの訓練を受けたい。
この仕事を受けながらしばらくは訓練に力を入れよう。
よつばの分と合わせれば二人で一日800Gの稼ぎだ。
毎日80Gづつママにお渡しすることができる。 教会の負担も軽くなりそうだ。


「この依頼いいね。さっそくこれを受けよう。」


よつばと一緒に受付カウンターに向かう。
受付には俺の手を取り【マナアシスト】をしてくれた俺の嫁、スフレちゃんがいた。
スフレちゃんは今日もかわいい。


「どーもー。 本日は依頼の受注ですか? 」

「はい、よつばと二人でこれを受けたいと思います。 あ、大丈夫ですよ? こいつは単なる後輩ですから 」


依頼書をスフレちゃんに渡す。
スフレちゃんは依頼書を見ると


「それではさっそく依頼主に連絡入れておきます。 明日からお店に行ってください。 依頼主のお店、わかりますか? 」


俺達はスフレちゃんからお店の場所を聞いた。
お店は街の入り口付近にあるようでここから少し歩くようだ。
大通りに面しているようなので迷わずいけるだろう。


「そういえば、スフレちゃんは休みの日とか何してるの? 」

「え? お休みですか? そうですね、最近は掃除したり、料理の作り置きしたり、家のお手伝いしたり 」

「ほう。 家庭的なんですね 」


さすがスフレちゃんや。 俺の嫁なだけある。
はやくスフレちゃんと小作りをしたい。


「あとは息子の世話とー 」


人妻かよ!! 結婚詐欺じゃねーか!?
彼氏がいるとかさ!? 夫がいるとかさ!? 
先に言っとけや!!
彼氏持ちが合コンに来るなや!!
なんで彼氏持ちが合コンくるの?!
バカなの!? ビッチなの!?


俺は適当に会話を切り上げてニヤニヤ笑ってるよつばと足元に絡みつく太郎と一緒に教会に帰った。


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さっそくママにこれからの予定を報告・相談しておく。
俺はマメな男なのだ。


「ママ、これからなんですが、明日から十日間『キール亭』で食堂の仕事を夕方から数時間したいと思います。報酬は一日当たり一人400G。二人分で80G毎日。 そして夕食付なのでこれからは私たちの夕食はいりません。 それからママは人妻じゃないですよね? 」


重要事項の確認をしておく。


「あらあら、ありがとうございます。 キール亭はとってもおいしいですし、いろいろな方が出入りするのでこの国を知るには丁度いいでしょう。 それから人妻じゃないですよ 」

「そうなんですね。それは楽しみです。 明日からは 午前は算術指導、お昼後はママから指導を受けられたらと思います。その後キール亭に行ってきます」

ママは女神だ。

その後よつばが俺がスフレちゃんに振られたことをママに告げ口したり、太郎の話をしているうちに夜はふけた。
犬っているだけで会話の種になるよな。
家庭の会話を増やす貴重な存在だ。

そんな事を思いながら今日も太郎と毛布につつまれた。


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「おっきろー!!! 」

「待て待て待て!! 毛布の中に太郎もいるから!! 」


なにこれデジャブ? 前日と同じ会話を起こしに来たアレクと繰り広げる。
こんな小僧に起こされるよりもママに起こされたい。
上も下も。
まぁ下は勝手に起きてしまうやんちゃボーイだが。


午前中は2桁の足し算を教える。3桁まで覚えたら次に引き算だ。
ゆっくりじっくり。
素人はすぐ先に進みたがるからな。
童貞はこれだから困る。


午後はママから訓練を受ける。
俺は槍、よつばは弓。そして今日からは二人で魔術の基礎も教わる。

魔術の話、理屈はわかったが魔力がない。
魔力を集中して、とか、魔力をイメージして、とか。
まったくわからん。

理屈としては、体内にある魔力を指先や手のひらに集中、イメージを固める。
さらに魔力を籠めた詠唱することによってこの場所に現象を生み出す、らしい。
これはなるほどな、とは思う。

しかし、体内にある魔力の話になるとまったくわからない。
よつばは魔力の感覚がわかるようで


「先輩! 魔力の練習をするとお腹がすきます!! 」

との事。
魔力の使用は腹が減るらしい。
わからん。

魔力の練習をしていると太郎が怖がって近づいてこない。
何か感じるものがあるのだろうか、あきらかに怯えている。
犬のくせに俺より敏感なようだ。
いや、犬だからか? 第六感みたいなものがあるのだろう。

よつばが魔術の練習をしている間に俺は槍の練習や体力作りをする。
あっというまに訓練時間は過ぎていく。

===

訓練が終わった俺達は体を拭いて身支度を整えると、さっそく『キール亭』に向かった。
あいかわらず太郎は俺の後をついてくる。

食堂に犬。 さすがにダメだろ。

この世界がどんな食材で料理をしているかはわからないが、へたすりゃ食材にされるな。
その時はあきらめよう。

そんなことを考えているうちに『キール亭』に到着した。

キール亭はそこそこの大きさの食堂だ。
木製カウンターに6人掛けができそうな大きめなテーブル席が八つ。
建物は少し古いものの丁寧に掃除されておりとても清潔感がある。
店内は数組客がいるようだ。
さっそく俺はカウンターにいた角刈りのおっさんに声を掛けた。


「すいません。冒険者ギルドで依頼を受けました、陽介と、こっちはよつばです」

「きたか!! 助かるぜあんちゃん達! 俺がこの店の店長、キールだ!  さっそくだが料理の経験はあるか?」

「私は昔調理の仕事を少しだけしたことがあります。よつばは? 」

「あたしは料理できますよ!! なんて大きな声では言えませんが、それなりにはできるかと」


おっさんは俺達を順番に見ると


「そうかそうか、なら陽介は料理担当、よつばじょーちゃんは注文受けてくれや!」

「はーい! 」


よつばは元気に返事をしているが、まぁ妥当な人選だ。
俺でもよつばを注文受け担当にするだろう。
さえないアラサーなんぞ料理担当でキッチンに引っ込めておくに限る。


「一緒に働く仲間を紹介しておこう、くーちゃん!!」


キールおっさんはテーブルを片付けていた女の子に声をかけた


「なんであるか!! アーハハハハハッ!! 」