世の中には性癖 14話
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俺は 「童貞!!」 の単語に過敏に反応してしまい振りむいてしまった。
そこにはオレンジがかった髪を短いツインテールにした勝気そうな少女が腰に手を当ててふんぞり返っていた。
ギルド内の反応を楽しんでいるのだろう。 口元がにやついている。
この少女は魔法を使うのだろうか。
左手は腰に当てているが、右手には木製の杖を持ち腰くらいまでの短いローブを羽織っているが、中身はビキニに短パンだ。
どういう組み合わせだよ・・・・・・
この世界の女子は基本露出が高めだがこれはアウトだろ。
こんなアホそうな子には関わっちゃいけない、俺の中でアラームが鳴り響く。
「童貞先輩、ご指名ですよ? 」
「やめなさい!! 目を合わせちゃだめ!! 」
アホ丸出し子はターゲットを俺と定めたらしい。
俺のほうに一直線に向かってくる。
途中には椅子もあったのだがそんなものは目に入っていないようだ。
歩く途中でゴツゴツ脛に椅子が当たっているもんだから少し赤くなっている。
ちょっと 「イテッ! 」 って顔してんじゃねーか・・・・・・
アホ丸出し子は俺に ビシィィィィ!! と指刺すと
「そこの童貞坊や! わらわの下僕となる許可を与えようゾ!! 」
「・・・・・・・・・」
何を言い出すんだこいつは。
ナンパか? この世界のナンパか?
俺は目線をそらした。
アホ丸出し子にかまっている暇はない。
これから夕食の準備をしなくっちゃ。
ママが半裸で待っている。
「わらわの名は クローディア・ボトルフィット! 荒ぶる暴風を手なずける魔術師であるゾ!! アハハハハハハハー!!!! 」
「・・・・・・・・・・・・」
「見慣れる恰好をしておるが駆け出しの童貞冒険者だろう? 武器はどうした? 坊やも魔術師であるか? 」
「・・・・・・」
こっちは無言でいるのにものすごく嬉しそうに腕を組みながら頷いている。
「わらわの美貌に声も出せぬか。 童貞には刺激が強すぎてしまったな。 アハハハハハ!!!! 」
ふんぞり返って笑っている隙に俺はよつばの手を取ると出口に向かって駆け出した。
アホ丸出し子のアホ笑いはまだ続いており俺がいないことに気付いていないようだ。
今日はもうお家に帰ろう。
そして金輪際ギルドには近づかないでおこう。
登録料はおしいが俺の冒険者生活は終わりだ。
「よつば・・・・・・ 俺冒険者やめようと思う・・・・・・」
よつばは無言で俺の肩に手を置いた。
その手の心地よい重みから俺をいたわる気持ちが伝わってくる。
よつばは少しだけ微笑みやさしい眼差しを向けてくる。
「先輩・・・・・・」
「よつば・・・・・・」
視線が絡み合い無言の時間が流れる。
言葉はないが心地よい空間。
優しい世界。
よつばは俺の手を取ると
「ダメです!! 働いてください!! あんなチビッ子クラブにちょっと童貞扱いされたくらいでへこんでる場合じゃないですよ!! 」
「チビッ子クラブ!? 」
「ほら!! ギルドいきますよ!! さっきのお掃除依頼受けますよ!! 」
「ひ、一人で行って来て!? 待ってるから!! ずっと待ってるから!! 」
「もう!! しょうがないなぁ!! だから童貞なんですよ!! ちょっと待っててください!! 」
一言余計じゃない!?
よつばはぷりぷり怒りながら来た道を戻っていく。
君子危うきに近寄らず。
危ないとわかっている場所には近づいちゃだめ。
俺は賢いのだ。
俺はのんびりと待つことにした。
妄想の中でママを凌辱しながら待つ。
しばらく待っていたもののなかなかよつばが帰ってこない。
もう3回戦までママと濃厚なひと時を過ごたところだ。
どうしよう・・・・・・
ギルドに行ってみるか? アホ丸出し子いたらやだな・・・・・・
とりあえずメールしてみるか、と思ったものの携帯電話を持っていない。
なんて不便な世界だ。
これではテレフォンオセッセもできないじゃないか。
そんなことを考えていたらよつばが戻ってきた。
「せんぱーい!! 遅くなってすいません!! 」
「ぜんぜーん! 今来たところ~」
よつばは俺の返しをスルーすると
「お掃除の依頼! 受けることができましたー! 色々説明を聞いたりジョブについて聞いていたら時間かかっちゃいました! 」
あ! なるほど、ジョブか! すっかり忘れてた。
「ジョブの話も聞きたいんだけど、アホ丸出し子いた? 」
「もーいませんでした。 あの後どっかのパーティに声を掛けられたみたいですが断ってどっかにいったようですよ」
そっかそっか、もういなかったのなら俺も行くんだったな。
「ジョブってなんだった? 」
「えっと、ジョブなんですが・・・・・・
よつばの話をまとめると、この世界には【ジョブ】というものがある。
【ジョブ】というものはその人の適正によって成れるもの、成れないものがある。
【ジョブ】に就く必要は必ずしもないが、就くことができるなら就いていたほうがステータス補正・固定スキルの修得ができるようになるから損はない、との事だ。
基本職 上級職 ユニーク職 と大きく三つに分けることができ、戦闘向けの職 非戦闘向けの職とに分かれる。
基本職には
物理型 戦士 闘士 スカウト 弓術士 等
魔法型 魔術士 回復術士 召喚士 呪術士 付与術士 等
非戦闘向けだと 商人 詩人 木工士 鍛冶士 調剤士 等
よつばは覚えきれていないようだがかなりあるようだ。
上級職やユニーク職はなりたくてなれるものではなく、とても珍しいらしい。
スキルについて。
基本職、例えば 【戦士】。
【筋力上昇】 【堅守】 等、自己能力を上げる事を中心としたスキルを修得することができる。
どれだけ能力が上がるのかは不明だが無いよりはいいだろう。
【弓術士】は
【命中】 【鷹の眼】そして魔力持ちは矢に属性を籠めて放つことができる【魔力矢】や、矢を手元に戻すことができる【リターン】等があるみたいだ。
かなり様々な【ジョブ】があるので自分の適性に合うものに就くのが一般的だ。
ジョブの適性検査・ジョブ付与も冒険者ギルドでできるらしい。
もちろん【ジョブ】に就くのもお金がかかる。
適性の検査に1,000G 就くために 1,000G もかかる。
けっこう高い・・・・・・
それを聞いてギルドに行くのはやめた。
行っても無駄だしな。お金ないし。
「あたしは魔力が高いみたいですし、魔術士ですかね!? ドッカンドッカンですかね!? 」
「いいんじゃない? 俺にはドッカンしないでね?」
「いやらしい顔してたらドカンッですよ」
「毎日火だるまじゃねーか・・・・」
よつばは楽しそうに俺の顔に火の玉でも投げるようなそぶりを繰り返している。
それにしても・・・・・・
うやらましいいいいい!!!
魔力いいな!! ほんと欲しい!! 魔力うううう!!!
ぐぬぬぬぬ・・・・・・
考えても仕方ない。
仕方ないことで悩んでもしょうがないか。
「適正の検査にすらお金がかかるのならギルドに行ってもしょうがないか。街中を探索しながら教会へ帰ろうか」
「そうですね! はやく帰ってママのお手伝いをしましょ」
俺達は教会までの帰りながら目についた看板のお店を見学していく。
見るもの全てが目新しくて年甲斐もなく胸が高鳴りっぱなしだ。
いろんなお店があったが、杖の看板の店は 「魔法屋」 だった。
魔法は誰から教わるか、もしくは魔法屋で買って指導を受けて覚えるらしい。
けっこう値段が高い。
初級魔術 【ファイアボール】 で3,000Gだ。
回復魔術は初級の 【ヒール】 で10,000Gもする。
貴重なのだろう。
他にも薬屋、帽子屋、洋服屋や雑貨屋もあった。
俺達が教会につく頃にはすっかり日も落ちかけていた。
教会に着くと俺の信者たち、子供達3人がお出迎えしてくれた。
「先生! 今日の夕食は白スープとパンだよ!」
「先生!! どこ行ってきたの!」
「先生!!! デート!?」
適当に相手をしながらママの手伝いに向かう。
今日の食事は昨日と同じメニュー、白いスープによつばサイズのパン。
子供たちにこのパンはよつばサイズであることを教えておいた。