あいちゃんの★世の中には色々な性癖がありすぎて異世界で異世界

異世界モノ小説書いているお(*‘ω‘ *)連載するお('ω')

小説家になろう 投稿始めました('ω')ノ

はろはろやっほ~('ω')ノ

 

みんなのマジ天使あいちゃん(4歳 成人済み)だお('ω')

 

これまで(仮)で書いておりました、

 

【世の中には色々な性癖がありすぎて異世界異世界

 

あらすじ=========

 

 教育業界に努める花岡陽介(27歳 童貞)は仕事終わりの忘年会に参加していた。
 なんの期待もせずに参加した忘年会だがそこでまさかの異世界を知る事になる。
 忘年会が進むにつれて酒の量も多くなり、尿意を感じた陽介はトイレに向かった。事を済ませトイレから出ると・・・・・・!?
 
 そこは異世界だった。
 
 戦闘スキル なし! 魔力 なし! ステータス 並! の一般人。 
 「魔力」がある異世界で魔力なしの陽介はどう生きる!?
 
 ~平凡な人生から一転異世界へ~

================

ですが、
 
編集・氏名変更・追記等を入れ新たに投稿スタートさせました('ω')
 
 
 
同内容を
 
 
 
にて投稿しております。
 
これまで投稿したのは練習でしたので、今後もしよろしければ!
お暇な時、トイレ中等、お時間の有る隙間時間にぜひお読みください!
 
嬉ションして喜びます(#'ω'#)
 
これからは更新情報をこのブログにて更新していきます。
 
よろしくお願い致します。
 
 
 
 
 
なんだからねっ!! 

投稿用編集ちう(*‘ω‘ *)

ここ数日更新していませんでしたが、文字数も7万文字近くなり、そろそろ「小説家になろう」に投稿しようと、誤字脱字修正からスト―リー修正、名前やスキルの変更等、今後のストーリーを見越して修正しておりまふ。

あらずじ、 はこんな感じかしら

 世の中には色々な性癖がありすぎて異世界異世界

 教育業界に努める花岡陽介(27歳 童貞)は仕事終わりの忘年会に参加していた。
 なんの期待もせずに参加した忘年会だがそこでまさかの異世界を知る事になる。
 忘年会が進むにつれて酒の量も多くなり、尿意を感じた陽介はトイレに向かった。事を済ませトイレから出ると・・・・・・!?
 
 そこは異世界だった。
 
 戦闘スキル なし! 魔力 なし! ステータス 並! の一般人。 
 「魔力」がある異世界で魔力なしの陽介はどう生きる!?
 
 ~平凡な人生から一転異世界へ~

 

って感じです('ω')ノ

来週中に清書しエピローグから投稿したいと思いまふ(*‘ω‘ *)

むっふふ~(*‘ω‘ *)

世の中性癖 20話

眼が覚めると身体が動かない!?


「え!? え!? ファ!? 」

どういうこと!?

「よつば!? クローディア!? アンドラ!? 」


俺は!? 何してたっけ!?
大丈夫、大丈夫、落ち着け俺。
森の小屋にいたはずだ、なのにここはどこだ?
後ろ手に縛られて固く冷たい床に転がされてる。
日の光はない。 魔術の灯りが天井に灯っている。

どこかの・・・・部屋? それにしては広い。
学校の体育館ぐらいの広さはある。


「みんな!! どこだ!! 誰かーー!! 」


不安で胸が締め付けられる。


「うるさい。黙ってろ」


俺の声を聞きつけたのか、奥から黒紫のローブ姿でフードを被った者達が見えるだけで5名、近寄ってくる。
俺に声をかけたのは先頭の男か。
ここは下手にいこう・・・。


「あのー・・・・・・ ここはどこでしょうか? 私と一緒にいた連中知りませんか? 」

「・・・・・・・」

「あのー・・・・・・? 」

「・・・・・・」


ダメだ、まったく反応してくれない。
性別もわからない奴らは会話をしているようだが小さくて聞こえない。

あれ、待てよ?

もしかして俺の言葉通じてない?
よつばがいないからか?
よつば・・・・


「・・・・・・ キャン ユー スピーク ジャパニーズ? 」

「・・・・・・ 黙ってろ」

言葉通じるじゃねーか。
そりゃそうか、さっきも黙ってろって言われたな。

手も足も縛られており何もできそうにない。
こんな状況になるだなんて人生であるなんて思ってなかった。
平和な日本では考えられないことだ。

さらに黒紫ローブのやつらが増える。
ざっと見えるだけで20人以上はいるな。
ローブのせいで判別ができないが明らかに目立つやつがいる。
ローブの上からじゃらじゃらとした宝石の首飾りをしている。
ローブの下につけろよな・・・・

それにしてもこいつら何をするつもりだ?
やつらは俺を囲み始める。

動けない俺になにするつもりだ!?

っく!! 殺せ!! 

くっころなことするつもりか!?

もうよつば達にはしたの!?
どんなことしたの!?
エロドージンみたいな!?


その動画ください!!


「ちょっと!! お前たちさん!! せめて説明とかないの!? ずっと騒ぎ続けるぞ!!! うああ!!! 」

「うるさい!!!」

「せめて説明してくれませんか!? 」

首飾りローブの野郎はめんどくさそうにしているが俺が大きく深呼吸。 さらに騒ぎ出そうとすると


「お前は生贄で、お前の仲間は貢物だ」

心底面倒くさそうに答える。

「・・・・生贄? 貢物? なに? 悪魔召喚でもするの? 」

「話が早い。 準備はできている。 悪魔なんぞではないがな 」


あ、悪魔召喚!?
この世界は悪魔までいるのか!?
神がいるようだし、悪魔もいるか!?
そういうもの!?
けど悪魔じゃない?
神の召喚に生贄とかいるの?

「待って待って! 待ってください!! 他の連中は!? せめてそれだけ! 」

めんどくさそうに首かざりローブ野郎は奥を指す。
そこには倒れているよつばとクローディアの姿があった。
特に縛られてもおらず、ただ寝ているようだが・・・・

「死んでないですよね!?」

「貢物を殺しては意味がない。 召喚と同時に魔術を解いて起こしてやる。 すぐに食われるだろうがな」

ぶっそうだな!

気づかなかったが俺の転がってる地面にはでかい魔法陣が書いてある。
ローブのやつらがなにやら唱えだすと魔法陣が血のような真っ赤な色で浮かび上がる。
体中から嫌な汗が噴き出す。

まずい、何がまずいかわかりゃしないがまずいっ!


「やめて!? やめませんか!? そんなことしても誰も喜ばないよ!?」

詠唱は続く

「何が欲しい!? 金か!? 世界か!? 待って!! 何でもしますから!! 」

詠唱は続く

「ゴラァ!! クソガキども!!! ケツアナに槍ぶっさして口から引き抜いてやんぞゴラァ!!」

詠唱は続く

「ごめんね? 今までの全部嘘です。 ほんとすいません」

詠唱は続く

これはだめだ、手首を引きちぎってでも逃げるしかない!
かなりきつく縛られているせいで手先や足先の感覚はないが必死にあがく。


クソがっ!!

手首は紐で擦れ血がにじむが解ける気配はない。
詠唱は終わりに近づいているのか、魔法陣から俺でも感じるくらいの禍々しい恐怖が滲みだしている。
だめだ、何もできない。

最後の詠唱なのか、ローブのやつらの声がいっそうでかくなる。

「「「魔神様!! 降臨し我たちの王となり道を示したまえ!! 」」」


魔神召喚!?
バカでかい音が空間内に響き渡る。
ピアノ!? ファンファーレ!?
魔法陣周辺から悪魔の行進曲とでも言うのだろうか?
不気味な爆音が響き渡り黄金色の光が立ち上がる!


「来る!! 来るぞ!! 」


最高潮に盛り上がる爆音。
どす黒い影が俺に迫る。

来る!!!


「ワン!! 」


犬がきた!? 太郎だ!!
太郎は俺を守るように黒い何かに噛みついた!?

が!

黒い何かは太郎の口から中に入り込む。


「太郎!! 」

痙攣し始める太郎。

口は半開きになり舌が飛び出している。


「たろう!!!!!!!!」

「犬だと!? なんで入りこんでるんだ! 召喚はどうなった!? 犬では魔神様は降りれないのではないか!?」

「予備が!! 予備の魔力玉と素材もまだあります!!」

「まだいけるのか!? すぐに準備しろ!!今夜を逃したら終わりだ!! 」


ローブのやつらは再度詠唱を始める。


「太郎!太郎!! 」


太郎は時おりビクッビクッと震えるがしばらくすると動かなくなった。


「太郎!!」


詠唱は続き魔法陣の輝きが増す


あいつら!! 太郎を話の通じない犬畜生だと思ってやがる!!
ふざけやがって!!

詠唱が続き赤黒く浮かび上がる魔法陣が輝きを増す。


あいつら全員太郎と同じ目にあわせてやるからなっ!!


「「「魔神様!! 再度降臨し我たちの王となり道を示したまえ!! 」」」


さっきと違う!?

ピアノもファンファーレの音も聞こえない。
ただただ禍々しい気配だけが深く、濃くなっていく。
魔法陣から赤黒い光が立ち上がる!


「来る!! 来てくれたぞ!! 」


どうする!? 交わせるものなのか!?
立ち上がった赤黒い光に禍々しい気配が絡みつく。


「先輩!? 先輩!!! 」


よつば!?目が覚めたか!!


「よつッ」

迫る気配が身体に絡みつき侵入してくる!!!


「アアアアアアアアアアアア!!!」

「センパーーーーーーーイ!!!!」

よつばの悲痛な叫び声が聞こえるような気がしたが俺は体中から侵入してくる気配にそれどこじゃない。
何かが俺の身体を動かそうと気持ちの悪すぎる気配が体中を巡る。


うああああ!!
俺の身体を支配するな!!!


あああ・・・・・


意識が・・・


ある・・・


あるな?


ん?

なんだ?




「先輩!!!」

よつばが俺に駆け寄ってくる。

貢物って言ってたしな、今から俺に食われるんだろう。
ローブのやつらは遠巻きに様子を見ている。


「よつば・・・・死ぬ前に・・・・・・」

「先輩先輩先輩!!」

「死ぬ前に・・・・」

「せんぱああああい!!!! 」


話聞けや!!!!!!!!!!!!!

こいつアホか!?

死にそうなのよ俺!?



「話を・・・聞いて・・・」

「先輩い!!!うあああああん!!!! 」

「お願い!! 話聞いて!? ほんと死んじゃうから!! 遺言だよ!?」

「うううう・・・・・ 先輩・・・・」


まだ泣いてるが何とか泣き止んだ。

「死ぬ前に・・・・・・ おっぱいを・・・・・ 揉みたかった・・・」

「先輩!最後なのに!!  生きてたら揉ませてあげますから!!」

「他にも・・・ パンツも・・・・欲しい・・・」

「パンツ!?」

「ブラもセットで・・・」

「贅沢なこと言いますね!? 生きてくれたら上げますから!!! 」

よつばは必死に俺に【ヒール】をかけ続ける。
よつばの額に玉のような汗が噴きだしている。
そうとう無理して魔力を使ってくれているようだ。

「もういい。 よつば、やめてくれ」

俺に纏わりつく暖かな気配を受け入れるものの回復しているような気配はない。
乳を揉めてブラもパンツもセットでくれる。
それを聞けただけで満足だ・・・・

俺は目をつぶると身体の力を抜いた。

俺は意識を魔人に乗っ取られ・・・・・・・・・・・


ない。


なんだこれ?

ほんとに召喚されてんのか?


≪どういうことだ!? なぜ身体を支配できない!?≫

!?

身体から声が聞こえる!?
魔神か!?

≪そうだ! 吾輩は72柱が一柱 魔神・総裁 オセ である!! ひれ伏せ!!≫

は? オセ? 総裁? ひれ伏す? 身体乗っ取らないの?

≪乗っ取れないのだ!! なぜだ!? どうなってるんだこの身体は!! 説明しろ!! ≫

わからん。 何言ってんだこいつ。

コミュ障か?

≪ふざけるなよ!? 目の前にいる女を殺すぞ!?≫

身体乗っ取れないのに?

≪なぜだ!! どういうことだ? 我の魔力が霧散し消えているぞ!! この身体には魔力がまったくない! 作られないのだ!! ゆえに支配ができない!!≫

魔力ないらしいからな。

≪魔力がないだと!? この世の生物には全て魔力が宿るのだ! 世界の理を無視するな!!≫

つまりお前は乗っ取れないの? 俺が消そうと思ったらお前消せんのか?

≪・・・・・・・・≫

答えないと追い出すぞ。俺の身体に召喚されたんだ、外に出されたら消えるんじゃないのか? 

≪・・・・・・ そうだ。 消すな≫

オセ、だっけ? お前がいて俺に得あんのか? 魔力もないんなら俺が魔術使えるようになったわけじゃないし、うるさいだけだろ。

≪・・・・・・せっかく現界したんだ! もう少しこの世界を楽しませろ!! 魔神界は暇なんだ!! 視力だけでいい!! 我に外を見る許可をよこせ! ≫

なんだそりゃ? 俺の意識一つでできんの?

≪できる! 我はお前に支配されている状態だ。 支配する予定だったが仕方ない。せっかく来たんだから頼まれろ!≫

偉そうだな。 代わりに? お前は何をしてくれんの? 

≪代わりにか・・・・ 我は身体を変化させることができる。 これは魔力を使わない。我の固有能力の一つだ。 今のお前ならそれが使えるはずだ。 我が消えればもちろんその能力も消えるがな≫

身体を変化?

≪試しに手に刃物でもイメージしてみろ。 強く、強くだ。 出来ると念じろ。 出来て当たり前だと思うのだ。≫

身体変化か・・・・・ そういえば今縛られたままだったな。
紐を切るか。

イメージ、イメージだ。
俺の両手は手首から先がナイフだ。
そのナイフで俺を縛る紐を切断し自由にある。
イメージしろ、俺の手はナイフだ。
俺の手に巻き付いている紐だろうが、パンツの紐だろうがサクッと切れるナイフだ。

念じていると手首がざわつくのがわかる。
変化の兆しなのか、手首から先の形があいまいに感じる。

≪もっとだ! イメージは力だ。 我の能力を信じろ。 どれだけ切れる刃なのか、強度はどれほど硬いのか、刃渡り、色、ツヤ、形状をイメージしろ!≫

世の中性癖 19話

一話からはこちら('ω')↓

 

aitamada.hateblo.jp

 

===

 

 

教会で朝食を取った俺達はさっそく南の森に向う。
俺によつば、そしてクローディアと太郎。
念入りに荷物のチェックをするが、そもそも荷物をあまり持っていないので忘れようもない。

太郎は置いてきた。 はっきりいってこの戦いにはついてこれない。

と思ったのだがついてきた。
空気の読めない犬畜生だ。

何を言ってもかわいく首をかしげるだけで話が通じない。
餃子のほうが話が通じる。

かと言って言葉を理解していないわけではなく、呼べば来るしご飯・散歩といった単語は理解している。
自分の都合の良い単語だけに反応しているようにも思える。
小さいし魔物も狙うほどでもないから大丈夫か?
俺のすぐ隣をトコトコついてきている。

森までは特に魔物に会うこともなく快適に歩いてこれた。

遠くに芋虫がでかくなったような生き物を見かけたがそれだけだ。
街道を歩いているせいだろうか魔物は少ない。


「さて、これから森に入る。 慎重に行こう。コーンウルフ以外の魔物だっていると思う。 とにかく先に魔物を見つけ、先制攻撃で終わらせよう」

「はい! 」

「わらわに任せるとよいゾ!! 」


太郎は木におしっこだ。
縄張りを主張している。

とにかく最初の1体。なるべく森の入り口付近で接敵したいがいるだろうか。
俺達は慎重に森の奥に進んでいく。
森の中にも獣道はあり、なんとなく歩ける。

警戒心を全開にしながら歩くため疲労も感じるがしばらく歩くと・・・・・・いた。

少し森が開けた岩陰にコーンウルフが寝そべっているのが見える。


「よつば、クローディア。  前 」

小声で二人に合図を出す。
二人とも確認したようでよつばは弓に矢をつがえる。


「よつばは弓、クローディアは【ウインドスラッシュ】で先制しよう」


二人は無言で頷くとよつばは弓を引き絞りクローディアは詠唱を始める


「風よ風よ、わらわの魔力を刃に変えよ、【ウインドスラッシュ】!! 」


クローディアのかざした杖の先から風が吹き出し風の刃がコーンウルフへ襲い掛かる。
周りの雑草や枝を切り裂きならがコーンウルフの脇腹に着弾する。


「ウガァ!! 」


コーンウルフは悲鳴をあげたものの、風の刃は切断には至らなかった。
深そうに見える傷跡からは真っ赤な血が噴き出している。


「よつば! 」

「ハイ!!」


気合いと共に放たれたよつばの矢をコーンウルフは寸前でかわす。


「二人とも追撃! 前に出る! 」


よつば達を背後に隠すように槍を構え前に出る。
威嚇するように牙を剥き出しにしたコーンウルフの眼を見ているだけで恐怖に足がすくむ。

行くべきか!? 待つ!? チャンスなのか?
こいつはもう動きは鈍いよな!?

睨み合いが続く。

「どけ陽介!! 【ウインドスラッシュ!!】」 


2撃目のクローディアの魔術の刃に槍を合わせる。

こちらを睨みつけるコーンウルフだがクローディアの魔術が見えているのか、横に跳躍しかわす。

交わすタイミングにも槍を合わせることができず以前にらみ合ったままだ。

牙を剥いたコーンウルフの形相に足が竦む。


「先輩! どいてください! 【ライトアロー】!! 」


よつばの手から光の矢が放たれるとコーンウルフに突き刺さる。
俺は一歩踏み込むとすかさず槍に力を込め突き出す。

槍は胸部へ突き刺さり、コーンウルフの体から力が抜けるのを感じる。
・・・・・・いやな感触だ。


「よし! 一体目! 」


俺は嫌な感触を振り払うように声をかけるとさっそく角の回収に入る。
回収用の短剣を取り出すとよつばと一緒に解体する。

たった一戦で疲労感がすごい。
それは全員同じようで額に汗をかいている。
何にせよ初勝利だ。

【解体】スキル持ちのよつばが解体をするとすごくスムーズに解体される。

手に入れた角をリュックに入れ、現状確認をする。


「よつば、クローディア、体調、魔力はどうだ? まだいけそう? 」

「はい! 矢は当たりませんでしたが、まだいけます! 」

「わらわはまだまだいけるゾ。 魔力もまだ余裕があるのだ」


小休止し俺たちは次の魔物を探しに森の探索を進める。
通りやすい場所を選んで歩き進んでいるため真っ直ぐは歩いていない。
迷わないように気を付けないとな。

しばらく歩くと


「ガルルルルルゥ」


低く唸るコーンウルフと鉢合わせしてしまう


「よつば! クローディア! 右手にコーンウルフ!」

とっさに槍を構えるもコーンウルフのほうがはやい。
飛び掛かってきたコーンウルフの牙をなんとか槍の持ち手で押さえるが角が頬をかすめ皮膚が抉られ押し倒されてしまった。


「先輩!!!」
「くそが!!」


押し倒されながらも腹にケリをいれるが離れる気配がない。
目の前に生臭いコーンウルフの牙が迫る。
爪が俺の脇腹に食い込む。


「【ウインドボール】!! 」


クローディアの魔術で俺の目の前にいたコーンウルフが弾き飛ばされる。
致命傷ではないようだが効いているようだ。


「ナイスクローディア!!」


興奮で痛みを感じる暇もない。
間を置かずよつばの矢が放たれてコーンウルフの脇腹に突き刺さる。


俺は体制を整えるとコーンウルフと対峙する。


「ガアア!!」


コーンウルフの突進と俺の槍が交差し槍がコーンウルフを貫く。


「ハァ、ハァ、ハァ」
「先輩!!」


泣きそうな顔でよつばが駆け寄ってくる。
顔面蒼白だ。


「大丈夫、生きてるから」

「あたしはよつば!よつばの名において願う!あたしの魔力を使い傷を癒して!【ヒール】」


よつばは俺の体に触れると治療魔術を唱えてくれた。
なにかぬるい風のようなものが俺にまとわりついてくる。
これが治療魔術か?
体に取り込むようにその風を受け入れると頬の傷も脇腹の爪痕もきれいに治療される。


「すごいな治療魔術は」
「せんぱぁいっ!!」


抱きついて! はこない。
泣きながら抱きついてきておっぱいワンチャンもめる場面やろここは。
瞳に涙がめいいっぱい溜まっており零れ落ちる寸前だ。

「よつば?」

わかってるよ、ほら。といった感じで両手を広げてやる。
よつばは俺の体に手を添えたままはにかんでみせる。

あれ・・・・? こいつ・・・・かわいいな。
おねいさん属性じゃないくせになかなかキュンキュンさせるじゃねーか・・・


「わらわの判断よかっただろう?よかっただろう? ウインドスラッシュだと陽介も一緒に切り刻むことになりそうだと判断してウインドボールにしたんじゃゾ?」


クローディアは褒めて欲しいらしい。


「な?な? 本当は陽介ごと切り刻んてやってもよかったのだが。 よつばが泣くしな? わらわ天才じゃろ? な? 」


俺のことを一応考えてくれてるのか。

それにしても先制できないとこうまでも違うか。
ママが言っていたな。
とにかく不意をついて先制攻撃、敵の攻撃が届かない位置をキープして攻め続けろ、と。

【索敵】ができる人材が欲しい。
太郎はできないのか? 犬なんだし鼻で見つけろよな。
太郎はすました顔で俺たちを見ながら縄張り主張行為をしている。

さっそく解体をし2本目の角をリュックにしまう。
午前中に街を出てきたがすでに日は登りきっている。
午後1時くらいだろうか。
慎重に森を歩いているので思ったより時間が経っている。


「まだ、いけるか?」

「そろそろ戻りながらでいいと思います」

「そうじゃな。 帰りがけにいたら討伐すればいいんじゃないか?」


その意見に賛成だ。
思った以上に金にはならなかったがしょうがない。
金より命だ。

警戒しつつ来た道を戻ることにする。


「えっと、あっちから来たよな?」

俺は左手を指す

「え?あっちですよ? 」

よつばは右手を指した。

「んん? こっちからじゃゾ?」 

クローディアは自分の後ろ方向を指す。
沈黙の時間が流れる・・・・・・。


「迷った!? 」

「え!? え!? あたしのほうで会ってますよ!」

「アハハハ!!! わからん!! 」


しょうがないのでよつばを信じ道を決める。
不安なのか、誰も口をきかない。
方向、合ってるよな・・・

しばらく歩くと見おぼえがある、一体目のコーンウルフを討伐した場所に出た。


「ほら!! あたしすごい! 」


これも【聖神の寵愛】効果か? 
よく道わかったな。
それはいいんだが・・・・


「いますね。オオカミちゃん・・・・」


俺たちが討伐した1体目を貪るコーンウルフがいる。
3体目か。今度は先制できるな。


「よつば。クローディア、準備」


よつばは矢を引き絞りクローディアは詠唱を始める。


「着弾と同時に前にでる。 放て! 」


よつばの矢とクローディアの【ウインドスラッシュ】がコーンウルフ目掛けて放たれ着弾。コーンウルフの脇腹が裂かれダメージを与える。
俺はよつば達を隠すように前にでる。


「2撃目準備!」

「アオオオオオオーーーン!!」


雄たけび!?
背筋に悪寒が走る。
まずい予感しかしない。

俺は槍を構えるとコーンウルフに踊りかかる。
これで沈める!!
突き出した槍は見事に胴体を貫いた。
手に感じる生命を奪う感触。
今はそんなことを気にしてる場合じゃない。


「よつば!! 後ろじゃ!!! コーンウルフ2体!! 」


よつばの後ろを振り向くと駆け寄ってくるコーンウルフが2体も見える。
単独行動じゃねーのかよ!!

まずい! 2体とも狙いはよつばだ。

俺はよつばの前に出て立ちふさがる。

コーンウルフ達は目前まで迫っており、走る勢いそのままに俺に飛びついてくる。

1体は間に槍を挟むことで噛まれるのを回避できたもののもう1体が右腕に食らいつく。
焼けるような感触と痛み、腕を摺りつぶされたような痛みを感じる。


「【ウインドボール】」


クローディアの魔術は俺に噛みつけなかった一体を吹き飛ばす。
あれだけじゃ倒せない。


「【ライトアロー】!」


よつばが俺の横から噛みついているコーンウルフの頭に零距離で魔術を放つ!
噛みついていたコーンウルフの頭を吹き飛ばし一撃で絶命させる。

右腕の感覚がない。


「先輩! 治療します!」

「先にもう1体だ!」

「【ウインドウォール】!」


クローディアの風の障壁が今まさに俺に飛びかかろうとしていたコーンウルフを吹き飛ばし、間に障壁を展開させる。


「ナイスだクローディア!」

「この障壁は前方だけじゃ! 回り込めるゾ!」


コーンウルフは聞こえたのか、仲間の仇をとらんと障壁を迂回している。
右腕の感覚はない。

俺は左手一本で槍を構える。
正直対応できる気がしない。
回り込んできたコーンウルフの前に立ち構える。


「ワン!!!! 」


太郎が俺の前に出て最大限のボリュームで吠える


「太郎!余計な事するな!」


コーンウルフはカンにさわったのか無造作に前足の爪で太郎を薙ぎ払う。


「キャンッ!!」


くそ!! 追撃をさせまいと槍を突き出すがあっさりと交わされる。


「【ウインドウスラッシュ】!」

「【ライトアロー】!」

二人から魔術が放たれ、風の刃が尾を切り裂き光の矢は後ろ足の片方を吹き飛ばす。
コーンウルフは直撃寸前に体をずらし致命傷を避けた。


まずい、二人とも魔力は大丈夫か?
特にクローディアは魔術が使えなくなればロリコン受けする単なるキッズだ。
腕力も胸もないため食うところなんて少ないだろう。

それにしてもやばい。
体温が下がっているのを感じる。
血を流し過ぎたか。


「大丈夫!? 助っ人に入るよ!! 」


動きやすい恰好をした赤毛の女、アンドラが両手に短刀を持ちコーンウルフに接近する。


「ハアアッ!」


掛け声と共に一閃。コーンウルフは眉間と心臓を貫かれ絶命した。


「助かりました!! 」

「先輩!! 腕!! 」


よつばに治療魔術をかけてもらい腕の感覚が戻ってくる。
けっこう派手に噛みつかれたが皮膚も元通りで腕も指も動かすことができた。


「はぁ、はぁ、 先輩、よかった」


魔力を使いすぎているのか息が荒い。


「大丈夫か? 魔力使いすぎか?」

「治療魔術は魔力消費が激しいって聞くよ。怪我が大きければ大きいほど。よつばちゃん無理してない?」

「だ、大丈夫です。はぁ、はぁ、次は太郎ちゃんの治療します。 それが終わったら少し休みたいかな」


太郎!! 忘れてた。
太郎はよつばに治療してもらうもいまいち効果が出ていない。
少し警戒しているようだ。
魔力不足か?


「太郎! 大丈夫大丈夫、よつばは怖くない怖くないよー。太郎を治そうとしてくれてるんだよー」


俺の声掛けが効いたのか太郎が元気になってきた。


「なんか先輩に声かけてもらったら太郎元気になりましたね。ずるい」


俺たちはコーンウルフを解体するとさっそく休憩することにした。
周りを警戒できるように少し開けた場所を探したいところだ。


「そういえばアンドラさんもコーンウルフ狙いでしたか?」

「そうそう! 一緒に来たメンバーとはぐれちゃってさ、はぐれたら小屋で待ち合わせにしてたからそこにいるかな」

「じゃあそこで休憩にしましょう。 ここから近いですか?」

「わりと近いよ、着いてきてー」


アンドラは【索敵】というスキルが使えるようだ。
索敵レベルは低いため範囲はそれほど大きくないものの前後左右20~30メートルの気配がわかるらしい。
安全に小屋につけそうだ。


しばらく歩くと見おぼえのある小屋についた。
扉にコーンウルフの角の後がある。
なつかしい場所だ。

さっそく俺たちは中に入るがまだ誰も来ていないようだ。


「どうやらアンドラさんのお仲間はまだ来てないようですね」

「そうね。気配も感じないし、心配だけどまずは休もうか」


俺たちはリュックから食料を取り出す。
冒険者が良く使っているという干し肉、乾燥チーズ、保存が効くという固いパンだ。アンドラも自分で同じような食糧を出している。


「飲み物、用意してやるよ。アクア使えるし」

「すいませんアンドラさん、ありがとうございます」


アンドラが用意してくれている間に各自装備品のチェックや少し体操をして緊張しきった体をほぐす。


「二人とも、魔力はどう?」

「食べたら回復はやまりそうですね! はやく食べましょう! 」

「食事と休憩は魔力の回復に役立つゾ。食べるゾ!」


アンドラが準備してくれた水、なにかが加えてあるな、少し酸味があっておいしい。レモン水みたいなもんか。


「なんかちょっとおいしい水ですね」

「だろ? リモンって果実を絞ってあるのさ。これ好きなんだよねー」


俺たちは反省会をしながら食事を続けた。
それにしても眠い。
本当に疲れた。

周りを見るとどうやらよつばもクローディアも眠そうだ。
太郎は既に日向ぼっこしながら横になっている。
小屋の中の気温がちょうどいい。


「あー、なんか俺ちょっと眠いわ」

「先輩もですか? あたしも魔力の使いすぎかな・・・・」

「わらわもなんだか眠いのぉ・・・・」

「えー!? 仕方ないなぁ、私もここで待ち合わせだし、少し寝ててもいいよ。」

 

アンドラの提案に俺たちは甘えることにした。

世の中性癖  18話

はろー('ω')

世の中には性癖の18話だお('ω')

ちょこちょこ改変してちゃんとした正式バージョンを来月くらいにはがんばりたいお('ω')

一話からはこちら('ω')↓

 

aitamada.hateblo.jp

 

===

 

「えへへへ  【聖神の寵愛】がどんな効果かはよくわからないのですが、言語理解とか聖神系の加護持ちと一緒にいるだけで魔力増幅の効果とかあるみたいです」


魔力増幅?初めて聞いたな。


「ママが言ってたの? 」

「はい。 ママのお手伝いしている時に教わりました。 あたしと一緒にいるだけでママはだいぶ魔力効率、治癒魔術の効果が高くなるみたいです」

「他には? 」

「他に?」

「陽介さんと一緒にいるだけで濡れてくるとか。言ってた? 」

「先輩は今日から牛さんと一緒に寝るか、お尻にビビビビされるのどっちがいいですか?」


よつばはニコニコしながら死の宣告をしてくる。
お尻関係は本当にやだ。
コーラを飲まないとしまらないしな。


それにしても【聖神の寵愛】ってそんな効果もあるのか。
すごいな【寵愛】。


「ほうほうほう。【聖神の寵愛】はすごいでないかよつば!! かっこいいゾ!! アハハハハ!!!! 」


もうこいつは笑いたいだけだろ。なんでも笑う。

その後俺はクローディアに、気づいたらこの世界、南の森の小屋にいたこと、この【聖神の寵愛】のこともあり教会に寝泊まりしていること、お金を貯めて情報を集めたいことを話した。
クローディアは小屋にいたことを聞いて多少驚いていたものの嘘はついていない、と思ってくれているようだ。
性質眼もあるのでその辺はわかるのだろうか。
あまり気にしていないようで、それよりも笑いどころがないか探っているように見える。


「気づいたら森にいた、か。 まぁそんなことは些細なことだゾ。 情報集めるのにも金がいるし、いろんな街に行くのなら丁度いい。わらわも追放・・・・修行のためにいろんなところに行きたいところだったゾ。丁度いい! 」


結局押し切られる形でパーティを組むこととなった。
まぁいいだろう。
戦力アップには違いない。
ただ名乗りはうざいので1回ごとに罰金でも取ってやろうか。


翌日の昼に教会に集合することを約束して俺達は教会に、クローディアは宿に戻ることになった。
ママに説明してクローディアも泊めてもらえないだろうか。
クローディアの稼ぎの一割を寄付、それからお手伝いもさせよう。

明日からはいよいよちゃんとした冒険者らしい依頼、討伐系の依頼を受ける。

ちょっとテンションが上がるな。
新しい事が始まる時、スカートがめくれる時というのはわくわくするもんだ。


====

翌日。


午前の算術指導も調子良く進んでいる。
なんといっても指導時間が長い、かつすでに十日以上指導している。
足し算、引き算は十の位の繰り上がり、繰り下がりまでもう完璧だ。

指導するとき、指導する相手はかしこくて優秀なやつと思うことにしている。
指導する立場のものが相手をどう見ているか、これはすごく大切だ。

こんな話がある。

とある実験が行われた。
その実験は低学年クラス担任の先生に、A君は学力テスト結果、このクラスで最高点を出した優秀な子だと伝える。
それを聞いた先生はA君はできる子なんだ、と思う。
一年後、改めて学力テストを実施した結果A君はとても良い成績を叩き出した。
しかし、実はA君は最初の学力テストで最低点を取っていた生徒であった。

という話だ。

教える立場に立つものが出来る子だ、と思って指導するとその子は本当に出来る子になる。
出来ない子だ、と思えばますます伸びないだろう。

先入観は危険だ、という警告でもある。

この話が真実なのか偽なのか、真実は不明だが俺は好きな話だ。
教える立場の者は少なくとも出来ないやつだ、なんて思いながら指導してはならない。
子供相手にならなおさらだ。

俺の指導方針の結果、子供達はすっかり俺の信者だ。
「ママのパンツを盗ってこい」と命令を下した場合、命に代えてでも盗ってくるだろう。
優秀な陽介チルドレンと化している。

ついでに今は算術のついでに俺が覚えた槍の使い方も教えている。
俺のスキルに 【槍術】はないけどね・・・・
運動も大切だ。

昼を食べてからはママからの指導だ。
いつものように俺は槍の指導を受け、よつばは弓の指導を受け、太郎は昼寝だ。
太郎はとにかく俺が見える位置にいないと気がすまないらしい。
うんこの時にでもついてくる。
小作りの時までついてくる気じゃないだろうな・・・
早急に首輪を買う必要がありそうだ。


教会の外で訓練をしているとクローディアがやってきた。
すぐに俺達に気付き駆けよってくる。


「わらわの名は クローディア・ボトルフィット! 荒ぶる暴風を手なずける魔術師であるゾ!! アハハハハハハハー!!!! 」


これから毎日聞かないといけないのか?
俺はこいつに関してはアホな子だ、との先入観が全開フルバーストだ。
この認識は間違ってない。
ママもちょっと引いてるがそんなママもかわいい。


「陽介さん、こちらの方は? 」

「えっと、紹介します。 クローディア・ボトルフィット、Eランク冒険者で魔術師。俺達とパーティを組むことになりました。」

「あらあら。そうなんですね。」

「これからこいつも一緒に依頼を受けていきたいと思っているのですが、依頼料の一割をお渡しする条件でこいつも教会に寝泊まりできませんか?」

「よつばさんのお手伝いはとても助かってます。かまいませんよ」


わりとあっさり許可がでた。俺の嫁は心が広い。よつばの【聖神の寵愛】の恩恵もすごいのだろう。

その後も俺達は訓練を続けた。
クローディアもよつばを見て弓の練習を始めたが、弓を引くのも辛そうだ。
単純に腕力が足りないな。

武器訓練の後の魔術の訓練ではついに


「あたしはよつば!よつばの名において願う!あたしの魔力を使い傷を癒して欲しい! ヒール! 」

よつばの手のひらに淡い光がともって・・・・・・消えた。
よつばは額に汗を浮かばせているが、ママの反応を見るとどうやら成功らしい。


「やった! 『ヒール』使えるようになりました!! 」

「やりましたねよつばさん。 これからは治療も手伝ってもらいましょうか」


治療魔術は属性魔術と比べて扱いが難しいらしい。
また、基本的に『ヒール』は自分にしか効果がないのが普通で、他者にまで効果を及ぼすことができるのは【加護】持ちやジョブで【プリースト】等の治療系ジョブについていること、もしくは治療魔術の適性が高いものしか扱えないようだ。
治療魔術を他者にかけることができる能力持ちは冒険者パーティでは人気だ。
よつばはレア人材といっていいだろう。
頭の中はアレなくせになかなかどうして羨ましい。

俺達は訓練を終えるとさっそく3人、+1匹で冒険者ギルドに向かった。


===

とりあえず昨日までのキール亭の依頼報酬を受け取る。
これで現在の手持ちはママに渡す分の差引くと5210Gになった。
ずいぶんと金が増えたもんだ。
こんなに金があると考えちゃうよね。
卑猥なお店はないのか? リサーチが必要だ。


とりあえず武器を揃えようと思ったのだが、ママが訓練に使っている槍と弓を貸してくれるとの事なのでとりあえずは間に合いそうだ。

3人で依頼書を見ていると


「お? 陽介達じゃない! 」


赤毛のショートカットで巨乳、この世界に来て最初に出会った人間、アンドレから声をかけられた。


アンドレさん! こんにちは」

「陽介達は依頼受けるの?どんなの探してるのさ? 」

「今までは掃除とか食堂とかの手伝いしてたんですが、戦闘訓練も少しできたのでそろそろ討伐系の依頼を受けようかと思いまして」

「そうなんだ? じゃあこれなんていいんじゃない? 」


そう言っておススメされたのは


依頼内容:素材収集 (コーンウルフの討伐 ※注意)
依頼人 :アングロサーク
受注制限:なし 
報酬   :一体に対して 100G
依頼者から一言:コーンウルフの素材を集めている。 部位は角の中央にある垂直の角のみ。討伐から3日以内のもののみ買取たい。期限はないがある程度の数が集まりしだい終了とする。


「素材収集? 」

「これはね、依頼を受ける必要はなくて、素材を集めたいって依頼なんだよ。 このコーンウルフはあの南の森であった角が生えた狼だ。 コーンウルフは基本的に単独行動だし、やってみたら? 」


なるほど。 単独ボッチ行動ならかなり戦いやすそうだ。
三対一で勝負ならさすがに死傷者はでないだろう。
よつばも治癒魔術使えるようになったし、俺達には丁度いいな。
よつばとクローディアに依頼内容を伝えると


「あの時のリベンジですね! 」

「コーンウルフなどわらわの暴風で世界の果てまで吹っ飛ばしてやろうゾ!! 」

「世界の果てまで吹っ飛ばしたら素材回収できないだろーが・・・・・・」


どうやらやる気十分なようだ。
よつばはガッツポーズを、クローディアは笑いだしそうだ。
ご近所迷惑だからバカ笑いはやめてね。

アンドレも行かないかな、巨乳枠として一緒にいって欲しいところだが、どうやら別パーティを組んでいるようでそっちと行く予定らしい。
ラッシュさんとは別のようだ。
冒険者っていつも同じパーティでいるってわけじゃないのかな?

なにはともあれ俺達はこの依頼、コーンウルフの素材回収をすることに決め、街に買い出しに出かける。

薬草は森で集めながらコーンウルフを探せば足りるかな?
と思ったのだが回復薬という飲み薬が薬草以上の効果があるらしい。
品質は色々あるのだが低品質なものでも300Gもする。
高いが命には変えられないので一人1個づつ買うことにした。
他にも皮製の水筒を二つ、食料を3人分、夜道を歩くためのカンテラを3つ買ったら2000Gも飛んだ。
金かかりすぎじゃない!?

旅は金かかるのね・・・・・・

車でブーンと。
カードでサクッと買い物して。
腹が減ったらコンビニへ。
夜はネットでステキな動画検索。

そんな世界がなつかしい。

それにしても驚いたのがカンテラだ。

このカンテラはようはたいまつの代わり、懐中電灯なんだが燃料は魔力だ。
手持ちOK、腰に吊るすのOK,水洗いまでOKで熱くない。
一度の点灯で数時間持つらしい。
俺はもちろん灯りを点けることができなかった。
魔力ないしな。
点けるときはよつばにでも点けてもらおう。

俺達は買い出しを済ませたあと教会に戻り作戦会議だ。


「さて、おふたりさん。 素材の回収が無駄にならないように明日には森に入りたいと思ってるんだけど、大丈夫? 」

「かまわん!! わらわらはクローディア・ボト」

「わかったからクローディアちゃん!暴風暴風!ステキだよ!!」


よつばもそろそろいい加減にクローディアの名乗りはうざいらしい。


「じゃあさっそくだけど、基本的に行動は俺を戦闘に後ろによつば、クローディアと続く感じでいいかな? どこまで抑えられるかわからないけど、俺が槍で牽制しつつ後方からよつばの弓と魔術、クローディアも魔術で攻撃。
とにかく全員で索敵をして、先制攻撃で狼を倒していこう。そして危ないと思ったらすぐに帰る。OK?」


よつばたちは真剣な顔でうなづいている。
槍はリーチがあるのはいいんだけど、両手で扱うから盾持てないのはちょっと不安だ。
主に馬上で使うランスといった突進用の片手槍もあるようだが俺には高度すぎるし、教会にはなかった。


「とにかく作戦は命を大事に、だ。 危ないと感じたら森の入り口まで行けなくとも引き返す。たとえ治療魔術で治っても重傷を負えば撤退」

「ビビりだの陽介は。チェリー陽介ボーイの名は伊達じゃないの」

「ビビりでけっこう。ビビりマンでいこう」


最後にクローディアが何が出来るのかを確認した。
仲間が何を出来て何が出来ないか、知っていることは大切だ。
経験があるのかないのかも確認しておこう。

クローディアは 
風魔術 
【ウインドスラッシュ】風&斬魔術 風の刃を飛ばす 
【ウインドボール】風&打撃魔術 風を圧縮した球体を飛ばす 
【ウインドウォール】 風の障壁
【風陣(ウインドレンジ)】周囲に風属性魔術効果を引き上げる範囲を展開する
水魔術
【アクア】魔力を水に変える。飲める。
【アクアウォール】水の障壁

武器は木製の杖、杖の先には小さな宝石がついている。
魔石らしい。魔術発動の補助効果があるらしいが安物のようだ。
それから短刀を一本腰に差している。

経験はあるのか聞いたら「ない!!!! アハハハハハ!!!」といった笑い声とよつばの冷たい視線をもらった。
ぞくぞくしちゃう。

基本的にはどの魔術が魔物に効くのかわからないが、【ウインドスラッシュ】あたりがメイン攻撃になるんじゃないかと思う。
状況に応じて使い分けてもらおう。

俺達は明日に向けての作戦会議をし、愛しのママに報告をし、眠りについた。



この時俺達は。

いや、俺は。

この世界で生きるということの難しさを舐めていた。

 

世の中には性癖 17話

一話からはこちら('ω')↓

 

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=======

 

聞き覚えのあるバカ笑いが店内に響き渡る。
元気なのはいいことだがこれは元気すぎるだろ。
バカ笑いの主はキールのおっさんに呼ばれ俺達の前にくると


「わらわの名は クローディア・ボトルフィット! 荒ぶる暴風を手なずける魔術師であるゾ!! アハハハハハハハー!!!! 」


クローディアと名乗るアホ丸出しの子は腰に手をあててふんぞり返っている。
恰好はギルドで見た時のまんまだ。
腰までの短いローブにビキニと短パン。
その格好に『キール亭』のエプロンを付けていた。

やっぱりこいつか!!
冒険者ギルドで俺のことを童貞扱いし近づいてきた女!
アホ丸出し子は俺に気付いたのか


「おや? お主は冒険者ギルドで見かけた童貞だな? 奇遇であるゾ!! 」

「は・・・はぁ。」

「お、くーちゃんの知り合いだったか。 なら丁度良かったな、仲良くやってくれ」


知り合いではないがわざわざ否定することもないだろう。
俺達は改めてクローディアに名乗る。


「俺は陽介。 山崎陽介だ 」

「あたしは花岡よつばです。よろしくお願いしますね」

「ほう? それだけか? 」

「それだけ? というと?」

「わらわは 『荒ぶる暴風を手名付ける魔術師』 であるゾ。 お前らもなんかあるだろう? 」


ねーよ・・・・・。 
よつばは必死に考えているようで、うんうん唸りながら自分の冒険者カードを見ている。
そのうち何か思いついたのか


「あたしは! 神に選別されしエターナルフォーエバー! よつばであるぞ!!」

「ほう!! ほうほう!!!!  ほうほうほう!!!!!!  なかなか良いではないかよつば!!気に入ったゾ!! 」


エターナルもフォーエバーも永遠って意味だろ・・・・・・頭大丈夫かこいつは。
こんなバカに付き合ってられないので俺は頑なに二つ名は無いと言い張っていると

「孤高なるチェリー陽介ボーイ」 という名を二人から与えられそうになったが丁重に辞退した。
こいつらいつか泣かしてやる。ベッドの中で。
エターナルフォーエバーしてやるからな。

キールのおっさんから仕事の内容を聞き俺は厨房、よつばとクローディアのアホ共は注文係だ。

ようはファミレスのキッチン担当、フロア担当って感じだな。
俺のメインの仕事は皿洗いや盛り付けになりそうだ。

エターナルアホ共は注文取り、料理出し、片付けがメインの仕事。
メニューは多くないのですぐに覚えることができそうだ。

さっそくキールにエプロンをもらった俺達も仕事に取り掛かる。
しばらくすると客も入りだし忙しくなってきた。
けっこう流行ってるなキール亭。
客層は冒険者風の恰好をしたやつや多かったが町民もいた。
主によつばが、まれにクローディアもナンパされていたが、その度に


「わらわの名は クローディア・ボトルフィット! 荒ぶる暴風を手なずける魔術師であるゾ!! アハハハハハハハー!!!! 」


名乗りをやるもんだから次第にナンパされなくなってきた。
鉄壁だなクローディア。バカはこういう時に真価を発揮する。

みっちり4時間ぐらい仕事をすると落ち着いてきた。
俺達の仕事ぶりは上々らしく、キールのおっさんも満足そうだ。


「お疲れ様だ、お前たち。 しっかり働いてくれたな、お待ちかねの夕食だ、腹いっぱい食ってくれ」


出されたのはステーキ。 肉、肉が出た!
2センチはあろうかという手のひらサイズのステーキに付け合わせの野菜、ふやかしてある麦。
米が無いのは残念だが、この際どうでもいい。
肉は塩とソースで味付けがしてある絶品だ。
麦は味がない。オートミールみたいだな。
これはキール亭一番人気のステーキだ。
まさかこれを食えるとは。


無我夢中で食べ始める。
クローディアがおかわりを要求したらキールのおっさんは気前よく2枚目を焼いてくれたので俺もついでに頼む。
バカのおかげで俺も乗っかることができた。
クローディアはできる子。

食べ終わるとキールのおっさんは依頼書に今日の分のサインをくれた。
明日ギルドに持っていって400Gもらおう。

すっかり日も暮れているので教会に帰り今日も一日を終えたのだった。


========


キール亭で仕事を初めてから5日が経った。
俺達の所持金は4010Gになっており生活に必要なものを揃え初めていた。
お互いの下着の替え、リュック、それからママに最初に買うことをおすすめされた靴だ。

よつばに


「パンツは毎日同じの穿いてるの? それとも洗濯してる間はノーパンデイ? 」

「お、同じの穿いてませんしノーパンの日もありません!! ママに借りてますよ!!」


どうやらママに借りていたらしい。
どんなパンツ穿いてるんだろう。


「ちょっと見せ」

「ません!! 」


よつばの右手が光を放ち ビビビビビッ!! とスパークする。
こいつはいつのまにか光属性魔法の初級、ライトアローを覚えたようで、たまにビキビキさせている。
いいなぁ。魔術。
いいなあああ!!!!


パンツは見せてくれなかったが粘り強く丁寧に魂を込めて土下座をしていると色だけ教えてくれた。

黒だ。

あいかわらずチョロいなよつば。
チョロチョロだ。


そんなわけで、下着や肌着、財布と革と布の混合製のリュックにくるぶしまであるのブーツを買った。
俺のリュックはグレー、よつばのリュックは赤だ。
俺のリュックに薬草が一つ入っているだけで他には財布しか入ってない。
革製のブーツは俺が黒、よつばは茶色だ。
何の革でできているのかは知らないが俺の穿いていた革靴とはわけが違う。
とても丈夫、かつ動きやすい。
革製の運動靴って感じだ。

ここまでの使用金額は2400G。 残り1810Gとなりすぐに半分なくなった。
ここからお小遣いとしてよつばに200G渡しておく。好きに使ってくれ。
残金は1610Gか。

今日もいつものルーティーン、午前は指導、午後は訓練、夜はキール亭でバイトだ。

だんだん槍の扱いも慣れてきた。
走り込みで体力もついただろう。
午後の訓練が終わりよつばが自分の冒険者カードを眺めている。


「先輩・・・・・・ 私のカード変わってません!? 」

「え? 見せて?」

よつばのカードを見て見ると


【名】  花岡 よつば (人間)
【ランク】 E
【ジョブ】 ==
【ステータス】 体力 35   魔力 77   知力 50   力 22  俊敏 22  
【スキル】 弓術 level 1  算術 解体 光属性魔術  
【属性】 ∞
【特殊】 聖神の寵愛   

な!?!?

ステータスが微妙に上がってるし、スキルに 『光属性魔術』が増えてる!?

「ステータス上がって光属性魔術が増えてるじゃん!!」

「えへへへ~ 今治癒魔術の練習もしてますから、増えそうですよ~。 先輩はどうですか?」


俺のは!? あわてて自分のカードを見ると

【名】  山崎 陽介 (人間)
【ランク】 E
【ジョブ】 ==
【ステータス】 体力 42   魔力 ×   知力 59   力 36  俊敏 27  
【スキル】 算術 指導
【属性】 ==
【特殊】 


落ち着け。

まだ慌てる時間じゃない。


【名】  山崎 陽介 (人間)
【ランク】 E
【ジョブ】 ==
【ステータス】 体力 42   魔力 ×   知力 59   力 36  俊敏 27  
【スキル】 算術 指導
【属性】 ==
【特殊】 


一ミリも変わってねえ!!!
不良品掴まされた!?


「先輩・・・・」

「元のステータスが高かったし!? だから上がってないだけだし!?魔力以外はステータス勝ってるし!? 」

「・・・・・・」

「これ壊れてるわ。 もういらんはこんなもん 」

「それ100G払ってるんですからね!捨てちゃダメです!」


まだ単純に鍛え方が足りなかっただけか?
よつばは複雑そうな顔で俺を見ている。
訓練の時間は槍を使うだけじゃなく走り込みもしているし、それなりに努力はしているつもりだったのに。

いや、待てよ?
まだ『ジョブ』でワンチャン・・・・・・あるか!?
伝説のスキルも特殊な能力もなかったが、まだジョブがある。
いきなりとんでもないジョブに就けるチャンスはある。

金だ。金が必要だ。

ジョブの適性検査に1000G,就くのに1000Gで一人当たり2000Gもかかる。
高いな、まだ先になりそうだ。

しかしまだワンチャンある。きっとある。それまで訓練の手を抜いてはいかんな。
腐らずにいこう。

俺はよつばに慰めされながらバイトをしにキール亭に向かった。


======


キール亭でバイトを始めて10日目。
ついに最終日を迎えた。
毎日豪華な夕食が出てバイト代ももらえる。そんなおいしいバイトも今日で終わりだ。
若干の寂しさを感じながら最終日のバイトをこなす。
十日も毎日休みなく働いているとさすがに慣れてくる。
俺は今 『皿洗い level1』 というスキルがあるのであれば修得しているだろう。
食堂でのバイトで引っ張りだこだ。
人気者はつらい。

最終日もそつなく仕事をこなす。
最後の晩餐の時に、クローディアが俺達に声をかけてきた。


「よつば! チェリー陽介ボーイ! わらわとパーティを組むこと許すゾ? どうだ? どうだ? 」


こいつはことあるごとに俺達を誘ってきていた。
正直戦闘能力の乏しい俺達を誘う意味がわからない。
組んだところでよつばはともかく俺は約に立つ自信がない。


「クローディアさ、誘ってくれるのは嬉しいんだけど、俺達弱いよ? Eランクの童貞とエターナルアホだよ? それから今度その名前で呼んだらもう話聞かないよ? 」

「弱いのであれば強くなったらいいだけではないか? わらわが引っ張ってやろうゾ」

「そもそもお互いのこと知らないのに? 」

「そこは安心せい。 わらわはお前たちが悪いヤツではないことがわかる」

そういうとクローディアは冒険者カードを俺達に見せてくれた。



【名】  クローディア・ボトルフィット (人間 妖精族)
【ランク】 E
【ジョブ】 魔術師
【ステータス】 体力 30   魔力 68   知力 48   力 15  俊敏 18  
【スキル】 風属性魔術 水属性魔術 妖精話術
【属性】 ◎風 〇水 ×火 
【特殊】 【ジョブ効果 魔術威力上昇 消費魔力軽減 詠唱時魔力防壁】
魔眼

魔術師のジョブ就きなうえに、魔眼!? 
いやいやそれだけじゃない、人間と妖精族?


「わらわの魔眼は『性質眼』じゃ。対した魔眼ではないが、視た物の性質がわかる。わかる性質は簡単に言うとわらわに対しての善か悪か、といったところだゾ」

「そうなんだ! くーちゃんすごい!! 」


よつばはとても嬉しそうにしているが反応するところはそこだけじゃない。


「妖精族というのは?」

「ふむ? 珍しくもないだろう。人間と妖精族のハーフであるゾ。 アハハハハハハ!!」 


うむ。


「わからん」

「アハハ!! は? わからんと? 人間族の街から出たことがないチェリー陽介ボーイだと? 」


こいつの話は聞かなかったことにしよう。
俺は帰り支度を始め


「待て待て待て待て!! 嘘だ!  妖精族もいればエルフ族や長耳族、獣人族、いろんな種族がいるのだゾ! 」

「なるほど、それでお前は妖精族とのハーフってこと?」

「そういうことだゾ。 それでどうだ? 」


よつばを見ると先輩に任せますよ?と耳打ちしてくる。
正直依頼を受けるなら二人よりも三人だ。
悪い話ではないよな?
しかも魔術師だ。明らかに俺より戦えるだろう。
アホそうだが・・・・・
一応聞いておこう


「どうする? よつば」

「いいと思います! クローディアちゃん元気ですし!」


そこか?
まぁ異論がないならいいか。
俺達は自分たちの冒険者カードを見せた。


「ほうほう。 陽介は・・・・・・ 」

「・・・・・・」

「・・・・・・あれだな。【算術】できるんだな。あと【指導】? なんじゃ? 【指導】は? 教えるのうまいのか? 」

「そういうことかな・・・ よくわからんけど」 

「指導で戦うのか?」

「いやいやいやいや、槍を訓練中だよ」


クローディアは俺の能力の無さはそれほど気にしていないようだ。
飽きれるような雰囲気はない。
よつばの冒険者カードを見ると


「ほうほう!? 光属性魔術か。 そして弓に・・・・・・・【聖神の寵愛】だと!? 」

世の中には性癖 16話

一話からはこちら('ω')↓

 

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午後の昼下がり、俺達はさっそく依頼主・コメットさんの家に向かう。
俺達が教会を出ると、太郎がついてきた。
「教会にいなさい!」と何度も何度も2千回くらい言ったのだがどうしてもついてきてしまう。
首輪もしてないしリードもないから繋げとくこともできない。
仕方ないから好きにさせた。
よつばはついてくる太郎に感激して、3歩ごとに太郎を振り返ってはぴょこぴょこ飛び跳ねている。
スイーツ脳だな。

コメットさんの家は教会からさほど離れているわけではなかった。
10分も歩くと到着。古い木造2階建ての一軒家だ。
さっそくノックをし声を掛ける。


「すいませーん! 冒険者ギルドの依頼を引き受けました、陽介とよつばと申しますが、コメットさんはいらっしゃいますかー!」


しばらくすると家の中から物音が聞こえてくる。
ゆっくりと扉が開き顔を出したのは六十代くらいのおじいちゃんだ。


「おお、今回は君達が引き受けてくれたんだね。 依頼主のコメットだ。今日はよろしく」


俺達はコメットさんと軽く握手を交わし依頼内容の詳細を聞いた。

コメットさんはこの一軒家で一人暮らしのようだ。
身内は息子が一人いるが、王都で鍛冶士をしているらしい。
けっこう優秀なようで、息子自慢がすごい。

息子は10歳で鍛冶士ジョブについた 鍛冶以外にも斧を振るい魔物も狩れる 頭も良く商才もある
わしに似て女子にもモテる 14歳で童貞卒業した 等、自慢がすごい。

十四歳で童貞卒業とかすごい、と思う反面それを親父に報告すんのか?
コメットさんの息子はファザコンだな。
ファザコンリア充野郎だと言うことがわかったが、ここまでの情報全部どうでもよい。
問題は依頼内容とマネーだ。

依頼内容は簡単なことだった。
一軒家に一人暮らしのコメットさん。年も年なので使ってない部屋まで掃除するのはとっても大変。

年に数回、ギルドに依頼を出して大掃除をしているようだ。
部屋数は多くはないものの、1階には大部屋、リビングと呼ぶべきか。
4部屋ほどあり2階にも同じ構造で4部屋。
普段は1階部分しか使用していないため2階は手付かずだ。
俺達は分担しながらほうき掛け、雑巾がけをしキッチンまで掃除する。
テーブルから出窓、家具の上のほこりまで丁寧に掃除をした。

掃除時間は2時間くらいだろうか。
あまり大きい家でもなかったので二人で分担するとあっさり掃除は片付いた。


「コメットさん。掃除終わりましたがこんな感じで大丈夫ですか? 一応各部屋を確認してください。 」


膝の上に太郎を乗せ、本を読んでいたコメットさんに声を掛ける。


「ああ、ありがとう。 今行くよ」


コメットさんはゆっくり席を立つと俺達に続き各部屋を回る。
思いのほかきれいになっていることに驚いているようだ。


「こんなにきれいにしてくれたのは初めてじゃ。お前さんたち、掃除職人じゃなぁ 」


コメットさんは笑う。


「満足してくれたようでよかったです。また機会があれば仕事を引き受けさせてください。 」

「コメットおじいちゃん、今度は指名してね指名! 」


よつばはキャバクラ嬢みたいなことを言う。
指名して欲しいそうだ。
依頼の出し方には指名依頼というものもあるようで、引受人を指名できる。
指名依頼が多いとギルドの評価は上がるらしいが、掃除で指名されてもな・・・・。
この世界で伝説の掃除職人にでもなるつもりか。


「ほっほっほ。 すごくきれいにしてくれたお礼じゃ。 特にキッチンがすごい。丁寧にありがとうよ。」


コメットさんは依頼書に完了サインをしてくれた上で、さらに追加で100Gくれた。
完了サインの入った依頼書をギルドに提出することでギルドからお金がもらえるらしい。

俺達はコメットさんに挨拶をしてギルドに向かう。
ギルドにあいつ・・・・・・ アホ丸出し子はいないよな・・・・・・

警戒していたもののアホ丸出し子はおらず受付カウンターに向かう。


「すいません、依頼が完了したので報告です。」

「かしこまりました。報酬を準備しますね」


俺はサインをもらった依頼書を受付嬢に渡すと200Gを受け取った。
今回の報酬は追加報酬と合わせて300G。
30Gをママに渡して残りは270G。
もともと持っていたお金が140G。合わせて410Gか。


あれだな、あれ。


こんなん金貯まるか!? 宿と食事を教会にお世話になってなかったら詰んでるぞこれ。
真剣にお金を集める方法を考えるべきだ。
改めて依頼書が貼ってある依頼ボードをよつばと眺める。

討伐・素材回収系の依頼はEランクでもそれなりに高い。
どんな魔物かはわからないが、

【スタンドウルフ討伐 10体 2000G + 素材買取  報酬見込み3000G】
【フール―ローバー討伐 20体 2500G +素材買取 報酬見込み4000G】

そこそこ高い。
高いが戦闘力のない俺達には無理だろう。
うーん・・・・・・。


「先輩先輩、今度はこれにしましょう!」


俺の思考を中断するようによつばが依頼書を持ってきた。
依頼内容は

依頼内容:食堂キール 手伝い(急募)
依頼人 :キール(町民)
受注制限:なし 数名募集
報酬   :一日  400G
依頼者から一言:スタッフが抜けてしまい緊急で2~3名募集。夕方から夜まで、十日程頼みたい。食事の準備や注文取り、食事出しの仕事となる。男性・女性・種族を問わないが料理経験者、愛想がいいと助かる。夕食付。


夕食付!!

夕方からというのもいいな、昼間はママからの訓練を受けたい。
この仕事を受けながらしばらくは訓練に力を入れよう。
よつばの分と合わせれば二人で一日800Gの稼ぎだ。
毎日80Gづつママにお渡しすることができる。 教会の負担も軽くなりそうだ。


「この依頼いいね。さっそくこれを受けよう。」


よつばと一緒に受付カウンターに向かう。
受付には俺の手を取り【マナアシスト】をしてくれた俺の嫁、スフレちゃんがいた。
スフレちゃんは今日もかわいい。


「どーもー。 本日は依頼の受注ですか? 」

「はい、よつばと二人でこれを受けたいと思います。 あ、大丈夫ですよ? こいつは単なる後輩ですから 」


依頼書をスフレちゃんに渡す。
スフレちゃんは依頼書を見ると


「それではさっそく依頼主に連絡入れておきます。 明日からお店に行ってください。 依頼主のお店、わかりますか? 」


俺達はスフレちゃんからお店の場所を聞いた。
お店は街の入り口付近にあるようでここから少し歩くようだ。
大通りに面しているようなので迷わずいけるだろう。


「そういえば、スフレちゃんは休みの日とか何してるの? 」

「え? お休みですか? そうですね、最近は掃除したり、料理の作り置きしたり、家のお手伝いしたり 」

「ほう。 家庭的なんですね 」


さすがスフレちゃんや。 俺の嫁なだけある。
はやくスフレちゃんと小作りをしたい。


「あとは息子の世話とー 」


人妻かよ!! 結婚詐欺じゃねーか!?
彼氏がいるとかさ!? 夫がいるとかさ!? 
先に言っとけや!!
彼氏持ちが合コンに来るなや!!
なんで彼氏持ちが合コンくるの?!
バカなの!? ビッチなの!?


俺は適当に会話を切り上げてニヤニヤ笑ってるよつばと足元に絡みつく太郎と一緒に教会に帰った。


===


さっそくママにこれからの予定を報告・相談しておく。
俺はマメな男なのだ。


「ママ、これからなんですが、明日から十日間『キール亭』で食堂の仕事を夕方から数時間したいと思います。報酬は一日当たり一人400G。二人分で80G毎日。 そして夕食付なのでこれからは私たちの夕食はいりません。 それからママは人妻じゃないですよね? 」


重要事項の確認をしておく。


「あらあら、ありがとうございます。 キール亭はとってもおいしいですし、いろいろな方が出入りするのでこの国を知るには丁度いいでしょう。 それから人妻じゃないですよ 」

「そうなんですね。それは楽しみです。 明日からは 午前は算術指導、お昼後はママから指導を受けられたらと思います。その後キール亭に行ってきます」

ママは女神だ。

その後よつばが俺がスフレちゃんに振られたことをママに告げ口したり、太郎の話をしているうちに夜はふけた。
犬っているだけで会話の種になるよな。
家庭の会話を増やす貴重な存在だ。

そんな事を思いながら今日も太郎と毛布につつまれた。


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「おっきろー!!! 」

「待て待て待て!! 毛布の中に太郎もいるから!! 」


なにこれデジャブ? 前日と同じ会話を起こしに来たアレクと繰り広げる。
こんな小僧に起こされるよりもママに起こされたい。
上も下も。
まぁ下は勝手に起きてしまうやんちゃボーイだが。


午前中は2桁の足し算を教える。3桁まで覚えたら次に引き算だ。
ゆっくりじっくり。
素人はすぐ先に進みたがるからな。
童貞はこれだから困る。


午後はママから訓練を受ける。
俺は槍、よつばは弓。そして今日からは二人で魔術の基礎も教わる。

魔術の話、理屈はわかったが魔力がない。
魔力を集中して、とか、魔力をイメージして、とか。
まったくわからん。

理屈としては、体内にある魔力を指先や手のひらに集中、イメージを固める。
さらに魔力を籠めた詠唱することによってこの場所に現象を生み出す、らしい。
これはなるほどな、とは思う。

しかし、体内にある魔力の話になるとまったくわからない。
よつばは魔力の感覚がわかるようで


「先輩! 魔力の練習をするとお腹がすきます!! 」

との事。
魔力の使用は腹が減るらしい。
わからん。

魔力の練習をしていると太郎が怖がって近づいてこない。
何か感じるものがあるのだろうか、あきらかに怯えている。
犬のくせに俺より敏感なようだ。
いや、犬だからか? 第六感みたいなものがあるのだろう。

よつばが魔術の練習をしている間に俺は槍の練習や体力作りをする。
あっというまに訓練時間は過ぎていく。

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訓練が終わった俺達は体を拭いて身支度を整えると、さっそく『キール亭』に向かった。
あいかわらず太郎は俺の後をついてくる。

食堂に犬。 さすがにダメだろ。

この世界がどんな食材で料理をしているかはわからないが、へたすりゃ食材にされるな。
その時はあきらめよう。

そんなことを考えているうちに『キール亭』に到着した。

キール亭はそこそこの大きさの食堂だ。
木製カウンターに6人掛けができそうな大きめなテーブル席が八つ。
建物は少し古いものの丁寧に掃除されておりとても清潔感がある。
店内は数組客がいるようだ。
さっそく俺はカウンターにいた角刈りのおっさんに声を掛けた。


「すいません。冒険者ギルドで依頼を受けました、陽介と、こっちはよつばです」

「きたか!! 助かるぜあんちゃん達! 俺がこの店の店長、キールだ!  さっそくだが料理の経験はあるか?」

「私は昔調理の仕事を少しだけしたことがあります。よつばは? 」

「あたしは料理できますよ!! なんて大きな声では言えませんが、それなりにはできるかと」


おっさんは俺達を順番に見ると


「そうかそうか、なら陽介は料理担当、よつばじょーちゃんは注文受けてくれや!」

「はーい! 」


よつばは元気に返事をしているが、まぁ妥当な人選だ。
俺でもよつばを注文受け担当にするだろう。
さえないアラサーなんぞ料理担当でキッチンに引っ込めておくに限る。


「一緒に働く仲間を紹介しておこう、くーちゃん!!」


キールおっさんはテーブルを片付けていた女の子に声をかけた


「なんであるか!! アーハハハハハッ!! 」